Mr.Children「旅人」の歌詞の意味と解釈を書いて行きます。
歌詞全体の解釈
まずはこの曲の歌詞全体の解釈から。
望んだように進めない人間社会、現代社会。そのなかで“愛”という壮大かつ形があいまいなものを探してさまようように生きる。そんな生き様を「旅人」と表現した歌詞であると僕は解釈しています。
愛を求めて生きるって、とても重要なことだと思います。恋とか結婚という狭い愛ではなく、自分がどこかの誰かのためになっているという実感、これも広くは愛ではないでしょうか。
言い換えると、自分が世の中に作用しているという実感というか。それを探している姿が描かれています。
この歌詞では“僕ら”という主語が目立ちます。僕たち現代を生きる人間全体を指して書かれているのも特徴です。
歌詞の深読み
ここからは歌詞を抜粋し、独自解釈の深読みをしていきます。
情報過多で 簡略化だぜ 文明の利器は
僕らをどうして 何処へ運んでく
<出典>旅人/Mr.Children 作詞:桜井和寿
情報技術が進歩して、本当になんでも簡略化された世の中に僕たちは生きていますよね。
しかし、それと同時に助け合うとか、教え合うとか、ご近所での持ちつ持たれつの関係だとか、そんな機会が激減してきました。何かに困ればまずはスマホでネット検索ですもんね。
すっかりそんなふうに生きていくクセがついてしまって、僕たちは一体どこへ行きつくのか。確かに疑問と不安を感じます。
忘れ去られた人情味を探して
彷徨っている僕らって 愛に舞う旅人
<出典>旅人/Mr.Children 作詞:桜井和寿
そんな人情味が薄れた世の中でも、僕たちは愛というものを探さずにはいられません。自分がこの世に存在していることや、一生懸命働いていることの意味って、やっぱり何かほしいものです。
そんな気持ちを「旅人」と表現しています。
うつむかないで天上を見よ
転ばぬ先の 杖なんていらない
でも 心配 そんで今日もまた神頼み
<出典>旅人/Mr.Children 作詞:桜井和寿
僕が深いなぁ、と思うのがこの歌詞。
うつむかないで上を見て前向きに歩くのが大事。だけど、下を見ていないと転ぶ危険性が増します。
しかし、「転ばぬ先の杖なんていらない」と強気な発言。これは「歩くのに邪魔だからいらない」という気持ちの表れなのかなと解釈しますが、正直「でも心配」で「神頼み」したい気持ちにもなるというジレンマを自分のなかに抱え込んでいます。
この強気と弱気の両方を併せ持ってる心境がはっきり読み取れるフレーズです。
裸で抱き合って
隣人と将来などを不安な想いで見つめんだ
悩みは尽きないや 切ないがぐれるな
<出典>旅人/Mr.Children 作詞:桜井和寿
このフレーズでいう「隣人」とは、今付き合っている恋人のことだと思います。
裸で抱き合った直後でも、2人の関係は将来どうなっていくかわからなくて不安でいるのです。
そんな悩みは尽きないし、ダメになってしまったことのことを考えると切ない・・・。だけど、ぐれちゃいけない。今いっしょにいる事実を大事にすべきだというメッセージを感じます。
恋に身を投げるロミオ
美談にならない時代だ よって僕もまた旅人
<出典>旅人/Mr.Children 作詞:桜井和寿
『ロミオとジュリエット』は悲しいすれ違いの恋の末にロミオもジュリエットも死んでしまいます。
お伽話なら悲劇ながらも美談ですが、実際に現実で起きてしまうとシャレになりませんよね。
けれども、恋や愛は求めて生きたい。ここにもジレンマが現れます。だからあてのない旅人のように生きていくワケですね。
この人生をまっとうせよ
誰のものでもないと図に乗って しくじって
そんで今日もまた神頼み
<出典>旅人/Mr.Children 作詞:桜井和寿
最後の歌詞です。ポジティブな気持ちにさせてくれるフレーズで終わっています。
そう、自分の人生は他の誰のものでもないんですよね。「人生をまっとうする」というのは、後悔をしないように生きるということ。ならばやりたいことや貫きたい生き方は貫かないといけません。
なんて、そんなふうに大きく意気込んでもまたしくじる。そして不安や悩みに襲われる機会も多々ある。そうして神頼みしながら生きていくのが人生なのかもしれない。
そんなメッセージを残してくれています。最初に失敗もあるし、不安も悩みも消えることはないという気持ちでいれば、ポジティブに生きて行けばいいし、そうするしかないか!という考え方にさせられますよね。
学びの一言
あてがなくて不安があっても、愛と希望は常に持ち続けていよう。
目的や自分の存在意義なんて、どこにあるのかさえも分からないものです。しかし、旅人のようにそれは探し続けて生きて行かないと、やっぱり寂しいしむなしいですよね。
その旅路には失敗も不安も必ずありますが、大事なのは転ばぬ先の杖ではなくて、転んでも起き上がるしたたかさなのでしょうね。
▼「重力と呼吸」までの“全曲”詩集。冒頭の桜井さんの作詞に対する熱い想いが超貴重です。
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