Mr.Children「LOVE」の歌詞の意味と解釈を書いて行きます。
歌詞全体の解釈
まずはこの曲の歌詞全体の解釈から。
ラブ らぶ
本命の恋人ではないけれど、気になってしまう異性。程度の差はもちろんあるとしても、そんな異性がいた経験がある人は多いのではないでしょうか。
この曲は、まさにそんな相手への気持ちを歌った曲です。主人公は本命の彼女がいながらも、“君”という別の女性のことがとても気になっていて、特別な感情を抱いています。
大別すればその気持ちは“恋心”なのですが、歌詞にもあるとおり、彼になる気はないし、責任を持つつもりもない。でも気になるし離れられない。
そんなグレーな恋心をテーマにした歌詞です。一つひとつのフレーズに共感してしまうのは、きっと僕だけじゃないはず。
歌詞の深読み
ここからは歌詞を抜粋し、独自解釈の深読みをしていきます。
偶然だね、こんな風に会う度に 君は変わってく
見なれないそのピアスのせいなのかな? ちょっとだけキレイだよ
<出典>LOVE/Mr.Children 作詞:桜井和寿
歌い出しの歌詞から、「あー、わかる」となってしまうフレーズです。
恋人ではないから頻繁には会わない。そんなとき、偶然久しぶりに出会った“君”。久しぶりだから、ちょっと雰囲気が変わっています。
特に女性だと、髪が伸びたり、ちょっとメイクが変わったりすると印象って結構違います。
主人公は冷静にピアスのせいかなと根拠を見つけていますが、心の中はキレイになった彼女にドギマギしている。そんな様子がうかがえます。
彼になる気もなくて 責任などさらさらさ
でもね 少し胸が苦しい
<出典>LOVE/Mr.Children 作詞:桜井和寿
この2行に主人公の“君”に対する気持ちが集約されています。
本命の彼女にしようと思う気持ちはない(本命の彼女はすでにいるし)。そんな責任を負うつもりもない。
でも、久しぶりに会って、しかもキレイになっているのを見かけると、異性としてとても気になってしまう。
「キレイになったのは、彼女に自分ではない男の存在があるからだろうな」なんてことを考えると、胸が苦しくなる。
そんなグレーな恋心を主人公は“君”に対して抱いているのです。
燃えるような恋じゃなく ときめきでもない
でも いつまでも君だけの特別でいたい
<出典>LOVE/Mr.Children 作詞:桜井和寿
1番のサビの終わり部分です。先ほどと同じ、グレーな恋心を言い換えて歌っています。
寝ても覚めても相手のことを考えてしまうような、そんな情熱をともなった恋ではないということを吐露しています。
しかし一方で、“君”にとって特別な存在でありたい。そんな気持ちも確かに持っている。
言ってしまえば、身勝手な思いです。でも主人公もそれをわかっていて、この歌詞を読む限り、何か具体的な行動に出ることはしていません。
本当に手におえないよ 天気予報より嘘つきで
青空の中に映る 調子いい君のあの笑顔
<出典>LOVE/Mr.Children 作詞:桜井和寿
これも個人的にわかりみが深いです…。
おそらく、主人公が彼女に惹かれる理由は、ここにあるのではないかと思います。
天気予報より嘘つきというのは、つまりは気分屋さんということですね。会う度に機嫌の良い悪いの波があったり、言うことが毎回違ったり、そんな“振り回し要素”が彼女には備わっているのでしょう。
男というのは単純で、そうやって振り回されることに弱いところがあります。
で、一番効くのが、機嫌が悪いと思っていたら、急に満面の笑みで接して来たときです。
この瞬間に心が鷲づかみにされてしまい、それで彼女のことが忘れられなくなってしまう。主人公はそんな経験を何度かしているのだと思います。
悲しい出来事に その笑顔奪われたら
探しに行こう あの日のように
<出典>LOVE/Mr.Children 作詞:桜井和寿
「あの日」とはどんなことをした日だったのか、気になってしまいますね。
僕の想像では、“君”と彼氏(昔野球で鍛えた)の間に喧嘩か何かが起き、“君”が傷ついたことがあったのでしょう。
そんなとき、彼女の悲しみを埋めたのが主人公の存在だったのです。
かと言って、やましいことをしたワケではないと思います。それだったら、“君”の彼氏に殴られることや、カンの鋭い彼女に怒られるのを「違ってる」と考えるのは不自然です。既成事実があったら殴られたり怒られるのは「確実」だと思うはずですからね。
主人公が彼女の話を聞いてあげた、というところではないでしょうか。「探しに行こう」と言っているので、ドライブにでも出かけたのかもしれません。
ちっぽけなプライドも遠慮もいらない
束縛やヤキモチはちょっぴりあるけど
燃えるよな恋じゃなく ときめきでもない
でもいいじゃない それもまた一つの
LOVE… LOVE… LOVE…
<出典>LOVE/Mr.Children 作詞:桜井和寿
主人公は“君”に対して、「プライドや遠慮なんて堅苦しいものは持たず、気軽に僕を頼ってくれたらいい」と思っています。
と同時に、「僕としては束縛やヤキモチのような気持ちはちょっと持ってしまうけど…」と思っているのですね。
しかしまた同時に、「燃えるような恋じゃないしときめきでもない」とも思っています。
まさしくどっちつかずで、曖昧なグレーな恋心ですね。
主人公も自覚しています。だから締めくくりに「でもいいじゃない」と歌っています。これは自分に向けた一言ですね。
学びの一言
LOVEにもいろんな色、形がある。それが事実だけど、誰かを傷つけてしまうのはルール違反。
人の心は白と黒でキッパリ分けられません。それは“君”も同じ状態だと思います。
僕はこの歌詞の主人公のことを「偉いな」と思うところが一つあります。
それは“君”のことや自分の彼女のこと、“君”の彼氏の気持ちをちゃんと考えているところです。
怒られたり殴られたりという自分への損害を避けるためというのもあると思いますが、その前に、誰かを傷つけてしまうのは「違ってる」と考えています。
「こんなことをしたらあの人が傷つく」とちゃんと想像してあげられているのです。
この歌詞に出てくる主人公の身勝手な気持ちは、あくまで自分の気持ちのなかで留めています。だからこそ、最後に「でもいいじゃない」と言えるのです。
誰かを傷つけてしまう行動を起こしてしまったら、「いいじゃない」なんて言えません。それはルール違反ですからね。
まあ、ここでは作詞者の桜井さんの過去のことは触れないことにします。
▼「重力と呼吸」までの“全曲”詩集。冒頭の桜井さんの作詞に対する熱い想いが超貴重です。
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