Mr.Children「Jewelry」の歌詞の意味と解釈を書いて行きます。
歌詞全体の解釈
まずはこの曲の歌詞全体の解釈から。
歌詞が紡ぐ物語の主人公は女性ですね。「あの人」「美しく」そして、「輝いていたいの」と、語尾が“の”であること。これらからそれは明白かと思います。
さて、この歌詞の物語。「拾い上げられなくたって」「沈むような気持ち」というフレーズからは、この女性の恋は一方通行であることが読み取れます。
しかし、そんな恋をしているなかでも、ポジティブな言葉も見られます。それが「イノセント」「誇らしく」「輝いていたいの」などの言葉です。ちなみに、イノセントとは“無邪気な”とか“純真な”といった意味の英語です。
そんな風に考えてこの曲を聴くと、そのたびに、“恋心”という複雑でありながらも純粋なモノが巧みに表現されていると感じます。
歌詞の深読み
ここからは歌詞を抜粋し、独自解釈の深読みをしていきます。
まるで 誰かがドブに落とした
プラスティックのJewelry
<出典>Jewelry/Mr.Children 作詞:桜井和寿
歌い出しの歌詞から比喩の素晴らしさに圧倒されます。
自分は通りを歩く人の誰の目にも触れない存在。ドブの中に落とされたという表現がそれを伝えてきます。それもそのはず、私はプラスティック製のおもちゃの宝石なんだから。
そんなふうに自分ことを卑下している主人公の心情が溢れ出ていますね。
沈むような気持ちがある
日々の中に浸み出た泥水に浸かって
でもどうか あの人へと向かう想い
イノセントなまま誇らしく 輝いていたいの
<出典>Jewelry/Mr.Children 作詞:桜井和寿
沈む気持ちがあるのはわかりますね。“あの人”に振り向いてもらえていないのですから。
次の、“日々の中に浸み出た泥水”というフレーズ。この曲で特徴的な表現ですよね。曲の終わりではこの歌詞が繰り返されています。
この部分について、僕はこのように解釈しています。
叶わない恋心を抱えて日々を暮らすのはつらいため、他の男性に目を向けようかな。なんて考えてしまう自分のことを指しているという解釈です。
本音では一途に“あの人”のことを想っていたい(このことを“イノセントなまま”と表現しているのだと思います)けど、つらさに負けて他に目を向けようとしてしまう。これを泥水に浸かってしまうと表現しているんですね。
そんな泥水に汚されてしまわずに、プラスティック製でもいい、純粋な輝きのままでいたい。主人公は心からそう望んでいます。
歌い出しではプラスティック製の自分を卑下していたのにここではそんな自分の純粋な恋心を大事にしていることがわかります。この矛盾も恋心の複雑さゆえ、ですよね。
蓮華草の花 野原に咲き誇って
故郷を思い出させる
人恋しくて切なくなる 泣きたくなる
イノセントなままどこかへ 消えてしまいたい
<出典>Jewelry/Mr.Children 作詞:桜井和寿
2番のサビの部分の歌詞です。
“あの人”に叶わぬ恋をしているつらさ、そして、泥水に浸かって汚れてしまいそうな心。
そんな現実から逃げ出したい思いから、故郷のことを想い出す主人公。「蓮華草」に「野原」ということで、主人公は田舎の出身で、今は都会に住んでいるんでしょうね。
人の多い都会で生活していても、頼ったり心を開ける人は主人公には少ないのでしょう。故郷に帰れば、心安らかな生活ができるかもな…。と考える気持ち、僕も都会にいたことがあるのでわかります。
自然豊かな故郷と、“イノセントなまま”の意味合いがリンクしている構造になっているのにも気づくことができます。
学びの一言
泥の中でも、プラスティック製でも、自分の輝きに誇りを持つこと。
つらい想いを抱えた女性の姿が頭に浮かんでくる歌詞ですが、こうして深読みしていくと、主人公のこの女性は自分の気持ちに誇りを持ち、それを大事に大事に生きている強さも備えた女性であることに気づきます。
自分の生き方を大事にするという意志にこそ、本物の宝石のような価値があるんですね。
ここで思い出してほしいのは、この曲のタイトルが「Jewelry」であること。「プラスティック」や「おもちゃの宝石」ではないことです。
そんな生き方を貫くと、生きづらさを感じる場面も多いでしょう。しかし、容量のよさだけを磨いても、人間としては何か大事なものを置いてきてしまう…。人生においては、このどちらも必要であるところが難しいところですよね。
▼「重力と呼吸」までの“全曲”詩集。冒頭の桜井さんの作詞に対する熱い想いが超貴重です。
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