Mr.Children「抱きしめたい」の歌詞の意味と解釈を書いて行きます。
歌詞全体の解釈
まずはこの曲の歌詞全体の解釈から。
ミスチルのラブソングでも超々ド定番の一曲です。
歌詞を追うと、恋人同士になってしばらく経つ男女の姿が浮かんできます。冬の気配も感じることができますね。
主人公は、彼女と出会ったころのことや付き合い始めたころのことに想いを馳せながら、彼女とのこれまでとこれからのことを考えています。
一方彼女の方は、まだ前の恋の傷が残っている様子です。そんな彼女を、主人公は自分の精一杯で守り癒したいという気持ちと、少しの切なさがブレンドされたような心境で大事に想っています。
主人公の「抱きしめたい」という思いは、この切なさも混じった心境と真っ直ぐな彼女への想いを言い表した言葉なのです。
歌詞の深読み
ここからは歌詞を抜粋し、独自解釈の深読みをしていきます。
出会った日と 同じように 霧雨けむる 静かな夜
目を閉じれば 浮かんでくる あの日のままの二人
<出典>抱きしめたい/Mr.Children 作詞:桜井和寿
歌い出しの歌詞です。
主人公が彼女と出会ったころのことを回想しているのがわかります。霧雨が降ってどこか厳かな感じの静かな夜だったのでしょうね。どんなきっかけで出会ったのでしょうか。
そして「あの日のままの二人」とは、どんな雰囲気だったのでしょうか。
人波で溢れた 街のショウウィンドウ
見とれた君が ふいに
つまづいたその時 受け止めた 両手のぬくもりが 今でも
<出典>抱きしめたい/Mr.Children 作詞:桜井和寿
このフレーズから当時の二人がどんな雰囲気だったか想像することができます。
賑やかな街を歩いているとき、ショウウィンドウの中の商品に目を惹かれた彼女。しかしそこでつまづいてしまい、とっさに主人公が彼女が受け止める…。
主人公「あ!」
彼女「…ご、ごめんなさい」
主人公「い、いえいえ」
そうして二人は顔を赤くして離れた。・・・そんなシーンが浮かぶようです。
主人公はこのとき彼女を受け止めたときの温もりが今でも忘れられなくて愛しいと思っているのですね。
抱きしめたい
溢れるほどの 想いが こぼれてしまう前に
二人だけの 夢を胸に 歩いてゆこう
終わった恋の心の傷跡は 僕にあずけて
<出典>抱きしめたい/Mr.Children 作詞:桜井和寿
サビの歌詞です。
そんなふうに彼女と出会い、付き合うようになったころのことを思い出していたら、愛しさと胸の苦しさがいっぱいになってしまったのでしょう。
「抱きしめたい」という想いが溢れそうになってしまいます。
そして主人公は彼女といっしょに生きていくという夢を抱えてながら歩いていきたいとという気持ちを強めています。
さらに主人公、彼女が前の恋の傷がまだ癒えきっていないことを知っています。そんな傷のことも自分が全部受け止めるという覚悟を持っていることもうかがえます。
キャンドルを 灯すように そっと二人 育ててきた
形のない この想いは 今はもう 消えはしない
<出典>抱きしめたい/Mr.Children 作詞:桜井和寿
これは付き合い始めたころの二人の様子です。
お互いに「いいな」と思っても、やはり付き合いたてのころは二人の関係がうまくいくかどうかは不安なものです。それをキャンドルの火と喩えています。
しかし、その火を二人は大事に育ててきたのです。そして今ではもう消えることはないという強固な想いに育った。主人公は二人の関係に自信を持っているということも読み取ることができます。
震えそうな夜に 声をひそめ 君と
指切りした あの約束
忘れてやしないよ 心配しないで 君だけを 見ている
<出典>抱きしめたい/Mr.Children 作詞:桜井和寿
あの約束とはどんな約束だったのか。
「君だけを見ている」というところから、これは“君”を裏切らないよという趣旨の約束だったのだろうと推測できます。
彼女は過去の恋の傷をまだ負っています。この傷は、当時の恋人に裏切られたことで出来てしまった傷なのかもしれません。
主人公はそれを踏まえて「僕はそんなふうに裏切ったりしない」と約束したのです。この指切りは彼女の方から持ちかけたのだろうと僕は解釈します。
抱きしめたい
溢れるほどに 君への想いが 込みあげてく
どんな時も 君と肩をならべて 歩いていける
もしも 君が さみしい時には
いつも 僕が そばにいるから
<出典>抱きしめたい/Mr.Children 作詞:桜井和寿
最後の歌詞です。
溢れそうな彼女への想いを抱えている主人公。ですが、これからも彼女といっしょに歩いていけるという確信を持っています。
それは、最後のフレーズからわかる通り、主人公のなかに「ずっと彼女のそばにいる」という覚悟があるからなのですね。
学びの一言
自分の気持ちが確固たるものならば、不安や切なさを感じても想いを貫くことができる。
過去の失恋の傷をいまだに抱えていることを知っている主人公は、やはり切なさも感じることでしょう。
だからこそ、出会ったころのことを思い返したり、想いが溢れそうになったりするのです。
しかし、それでも主人公には彼女を思い続ける、寄り添い続けるという確固たる気持ちがあります。この気持ちがあるからこそ、彼女の全てを受け止めたいと思うし、またそうして行けると確信することができるのです。
人を好きになる、人を愛するということの意味を教えてくれる、名曲中の名曲です。
▼「重力と呼吸」までの“全曲”詩集。冒頭の桜井さんの作詞に対する熱い想いが超貴重です。
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