Mr.Children「You make me happy」の歌詞の意味と解釈を書いて行きます。
歌詞全体の解釈
まずはこの曲の歌詞全体の解釈から。
青春時代に聞いた80年代の曲を久しぶりに聞いている主人公。そのころは自分にはなんでもできる気がして、ちょっとやんちゃなこともしたのでしょう。
もしかしたら主人公は、青春時代にはそんなやんちゃな自分と似たイケイケの女性が好みで、そういう女性といっしょに過ごしていたのかもしれません。
しかし、現在ではいっしょにいる女性(=“君”)と生活していることがとても幸せだと感じているのです。“きみ”といる部屋、暮らし、時間、街。そのすべてが好きだと歌っています。
「You make me happy」の直訳は、「君は僕を幸せにする」ですから、主人公が“きみ”と過ごすことに何にも代えがたい幸せを感じていることが伝わってきます。
歌詞の深読み
ここからは歌詞を抜粋し、独自解釈の深読みをしていきます。
リフレインの声を酔いしれて聞いてる
古い80’sのラブソング
リメイクしたって噂なら知ってた
でもオリジナルを越えようがない
<出典>You make me happy/Mr.Children 作詞:桜井和寿
青春時代に流行ってハマって聴き込んだ曲って、久しぶりに聴くとどっぷり浸かってしまいますよね。そのときの思い出や、過ごしていた場所の景色やにおいまでこみ上げてくるあの感じ。
そんな思い入れの濃いラブソングを聴いている主人公。そんな曲がリメイクされたという話は知っているけど、聞こうとはまったく思わない様子。けれど「オリジナルを越えようがない」と断言しています。
このことからもこの曲への思い入れの強さが読み取れますし、主人公の人間らしさを感じます。
「懐古趣味…」だって君は停止ボタンに
指を置いて脅してくる
でも You make me happy
そんな仕草見たら たまんなくなってくるのさ
<出典>You make me happy/Mr.Children 作詞:桜井和寿
そんな古い曲を懐かしんで心を傾けて聴いている主人公に、“君”はリモコンを人質に取り、現在と現実を持ちかけます。
自分とはまだ出会ってもいなかったころに聴いていた曲を懐かしんでいる主人公のことを、おもしろくないと思っているのです。
その“君”の気持ちが主人公に伝わり、主人公はそんなふうに思う“君”への愛しさがこみ上げてくる。そんな2人の様子と心のやり取りの場面を描いている歌詞です。
その当時の恋 思い出して
浸ってるって推理したろう?
違うよ少しだけ 何も怖くなかったあの日々が恋しいだけ
<出典>You make me happy/Mr.Children 作詞:桜井和寿
“君”が「おもしろくない」と思った一番の理由がこれです。
主人公がこの曲にハマっていたころの恋に、今さら懐かしんで浸っていると感じたからなんですね。
もちろんその相手は自分ではなく、どこの誰かも知らない女。そしてそのころの主人公は、自分が知っている主人公ではなく、ど派手なメイクのシンガーを聴き込むような男だった。
自分の存在がまったくない時代のことを主人公が懐かしんでいることに嫉妬しているのです。
でも、主人公にはその気持ちがバレバレ。ですが主人公にはそんなつもりはなく、何も怖くないという気持ちで生きていた日々が恋しかっただけとのこと。
2人ともそれぞれの気持ちを声には出しませんが、そんなやり取りが交わされているのがおもしろいと感じます。
きっときっと 二人ならば
そう きっと ハッピーでいれるさ
導かれたように 今ここにいる二人
趣味はまるで合わないけど
<出典>You make me happy/Mr.Children 作詞:桜井和寿
“君”の嫉妬を薄々感じ取りながらも、主人公はちゃんと彼女の存在を大事に思っていることが読み取れる部分です。
趣味はまったく合わず(おそらく“君”はど派手なメイクのシンガーの曲なんで絶対聞かない人)、比較的最近知り合い、付き合い出した関係ですが、主人公は2人でいればハッピーでいれると予感しています。
それぞれの過去があってこそ、出会うことができたという主人公の考え方はとても前向きで、“君”に対しての愛情が感じられます。
きみといるこの時間が好き
きみといるこの街が好き
You are the one. We are the one.
きみが好き
<出典>You make me happy/Mr.Children 作詞:桜井和寿
主人公の“君”への想いを総まとめした言葉がこの歌詞になります。
「君は唯一の存在。そして僕たちは一つだ」というように英文を解釈するといい感じだと思いませんか?
締めくくりの言葉はシンプルに「きみが好き」という一言です。
学びの一言
趣味や過去の生き方が違っても、何らかの意味があって出会い、今いっしょにいる。
この歌詞を読んでいて、この紛れもない事実に改めて思いを巡らせました。
そうなんです。これまでの過去をどう過ごして来たかにかかわらず、どこかの拍子で出会い、今もいっしょにいる相手というのは、やはり何か意味というか、引き寄せ合うものがあるんだろうなと思います。
そんな複雑なようでシンプルなこの世の仕組みを、“運命”と一言で言ったりするのでしょう。
▼「重力と呼吸」までの“全曲”詩集。冒頭の桜井さんの作詞に対する熱い想いが超貴重です。
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