Mr.Children「蘇生」の歌詞の意味と解釈を書いて行きます。
歌詞全体の解釈
まずはこの曲の歌詞全体の解釈から。
そせい
日々の生活を送るなかで、ふいに壁にぶつかり、立ち止まってしまうときというのはあるものです。また、自分が信じていたものをふと見失ってしまうようなことも。
この曲の歌詞の主人公も、そんな場面に出くわします。しかし、そこで前に進むのを辞めてしまったり、あきらめて投げ出してしまうことはしません。
何度でも生まれ変わって行けると信じ、目指したい目標や夢を見据え続けます。
そんな主人公の生き方と考え方は強くて爽やかで、僕たちリスナーの心は自然と上向きにさせられます。
「また一歩先に歩き出そう」そんな勇気をくれる歌詞です。
歌詞の深読み
ここからは歌詞を抜粋し、独自解釈の深読みをしていきます。
二車線の国道をまたぐように架かる虹を
自分のものにしようとして カメラ向けた
光っていて大きくて 透けてる三色の虹に
ピントが上手く合わずに やがて虹は消えた
<出典>蘇生/Mr.Children 作詞:桜井和寿
歌い出しの歌詞です。
ここで言う“虹”は、あとで歌詞の中に出てくる“夢”や“未来”のメタファーとして用いられています。
運転中に見かけた虹を、自分のものにしようとしてカメラを向けるが、うまく撮れないでいる間に虹は消えてしまった。という話ですが、これは以下の意味を示しているのです。
日々を送るなかで、夢を実現しようとしてがんばっているけど、壁にぶつかったりつまずいたりするうちに「本当に実現できるのだろうか」という気持ちになり、夢が遠のいてしまった感覚になる。
こう解釈すると、このあとの歌詞ともうまくかみ合って来ます。
でも何度でも 何度でも 僕は生まれ変わって行く
そしていつか君と見た夢の続きを
暗闇から僕を呼ぶ 明日の声に耳を澄ませる
そうだ心に架けた虹がある
<出典>蘇生/Mr.Children 作詞:桜井和寿
サビの歌詞です。爽やかで力強いフレーズが、視界がパッと開くようなメロディに乗ってやってきます。
夢が遠のいてしまうような目に遭っても、そのたびに生まれ変わったような気持ちになって何度でも目指していく。このフレーズのメッセージ性がこの曲の核になっています。
このメッセージが「蘇生」というタイトルの由来になっているのは明確ですよね。
また、歌詞の主人公の物語としては、この夢は“君”と2人で見た夢ということなんですね。だから、挫折しそうになっても“君”の存在を思い出すことで心の中にちゃんと虹(=夢)があることを思い出せるんだ。と感じているのです。
カーテンが風を受け 大きくたなびいている
そこに見え隠れしている テレビに目をやる
アジアの極東で 僕がかけられていた魔法は
誰かが見破ってしまった トリックに解け出した
<出典>蘇生/Mr.Children 作詞:桜井和寿
カーテン越しに見えるテレビでは、何をやっていたのでしょう。
おそらく、ニュース番組かドキュメンタリー番組をやっていたのではないかと僕は思います。
その番組では、ある国での内戦の報道や、貧困問題などを報じていたのでしょう。アジアの極東、つまり日本で生まれ育ち、自分が常識だと思っていたことは世界ではまったく当たり前ではないということを思い知らされた。
そんな場面の描写ではないでしょうか。
君は誰だ? そして僕は何処?
誰も知らない景色を探す 旅へと出ようか
<出典>蘇生/Mr.Children 作詞:桜井和寿
自分の常識が絶対でないという考えを拡大していくと、もう自分が何者かさえ怪しくなってしまうところまでたどり着きます。
でもだからこそ、自分はどこにでも行ける。何にでもなれる。そんなふうに考えることもできるのです。
誰も知らない、誰からも文句を言われない、そんな景色の見える場所を探す人生に旅に出ようと誘いかけてくれているフレーズです。
そう何度でも 何度でも 君は生まれ変わって行ける
そしていつか捨ててきた夢の続きを
ノートには 消し去れはしない昨日が
ページを汚してても
まだ描き続けたい未来がある
<出典>蘇生/Mr.Children 作詞:桜井和寿
1番のサビの歌詞からは「僕」の部分が「君」に変わっています。このフレーズはリスナーの僕たちに呼びかけているニュアンスも含んでいるのかもしれません。
今まで諦めてしまった夢があるのなら、その続きを見に行ってみようというメッセージ。これはひとつ前の歌詞のメッセージから繋がっています。
ノート(=人生)には消せない昨日(=過去)もあるけれど、まだまだ先のページがあるのです。
そのページに何を書いていくか。それによって、今は汚れて見える過去のページも、もがきながらも努力してきたことを示す大事なページになるのだと思います。
叶いもしない夢を見るのはもう
止めにすることにしたんだから
今度はこのさえない現実を
夢みたいに塗り替えればいいさ
<出典>蘇生/Mr.Children 作詞:桜井和寿
この発想に心のそこから感動したのを覚えています。
自分が思い描く夢が間違っているのではなく、さえない現実の方がいけないんだ。だから夢のとおりに現実を塗り替えてやるんだ。
この考え方、そして覚悟ですね。
冷めた目線で一見すると、これはただのイタイ人かもしれません。でも、そんなふうに思う人さえも“さえない現実”の一部。そう思ってしまってそんな視線は振り切ってしまえばいい。
そんなメッセージを受け取ることができます。
学びの一言
生きている限り、未来はいつだって“やりかけ”。
重複するので深読みでの抜粋はしませんでしたが、この曲の最後の歌詞の一言にするとこういうことだと思います。
おそらく、いろんな夢を達成したとしても、生きている限り人は夢を持ってしまうのではないでしょうか。というか、そんな人生を送りたいと思うものです。
生きている限り未来があるのですから、そこに何を描きたいかをワクワクしながら生きて行きたいですし、そうすることができるとこの歌詞から学びました。
汚れた過去があったっていい。そこからの未来に向けてどう行動するか。それこそが人生の最重要ポイントなんですね。
▼「重力と呼吸」までの“全曲”詩集。冒頭の桜井さんの作詞に対する熱い想いが超貴重です。
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