Mr.Children「REM」の歌詞の意味と解釈を書いて行きます。
歌詞全体の解釈
まずはこの曲の歌詞全体の解釈から。
とても毒々しく血にまみれたような世界観をイメージしてしまう歌詞。
歌詞全体から、主人公の“僕”が生き方や今いる場所について重たい迷いを抱えていることがガツンガツン伝わってきます。
そのなかで、現状から逃げ出したいという焦りと、理想に近づいていきたいという希望も描かれており、主人公が葛藤のなかにいることがわかります。
「ヘンゼルとグレーテル」や「XYZ」といった表現も、歌詞の世界観を深めています。ロックなメロディと相まって、非常にインパクトに残る一曲です。
歌詞の深読み
ここからは歌詞を抜粋し、独自解釈の深読みをしていきます。
出口を探しているんですが、あなた知らないか?
僕は何故血を流してるの?
<出典>REM/Mr.Children 作詞:桜井和寿
現実にはちょっとあり得ない状況です。つまりこれは、主人公の心の内をを比喩的に現しているということですね。
出口を探してさまよい、傷ついて血も出ている。理想とする姿や状態からはほど遠く、さらにそこに向かう正しい道すら見つけられない状態なのでしょう。
ヘンゼルとグレーテルが迷い込んだ世界に
もう dang-ding-dong dang-ding-dong dang-ding-dong
こんな自由を奪うような夢のない夢なら見たくはない
要らない要らない
<出典>REM/Mr.Children 作詞:桜井和寿
サビの歌詞です。
この歌詞において「ヘンゼルとグレーテル」のインパクトって大きいですよね。イメージにとてもよく残ります。ヘンゼルとグレーテルは、貧しい生活から口減らしのために親に森の奥に捨てられていしまい、そこでさまよった末にお菓子の家を見つけます。でもそのお菓子の家は悪い魔女が子どもを取って食うための罠で・・・
という物語を踏まえると、主人公もまた深い森の中にさまようような状態で、理想かと思いきや嘘や罠で作られたものだったりという経験をしてきているということなのでしょう。
そんな経験はもうしたくないし要らない!そんな心境が描かれています。
ちなみに「dang-ding-dong」はドアをノックする音や足音を表す擬音語です。
シャングリラを探して旅していたんだ
もしかして君のいる場所がそう?
そこで何してるの?君を愛してるよ
呼びかけてみても まるで返答がないんだ
<出典>REM/Mr.Children 作詞:桜井和寿
シャングリラというのはつまり理想とする場所のこと。たぶん、世の中に生きる人みんなが自分のシャングリラを探しています。
迷って迷ってワケがわからなくなっている主人公は、ふと“君”がいる場所こそが自分の目指すべき場所なのではないかとふと思ったのでしょうね。この“君”とは主人公の愛する女性です。
しかし、その想いは一方通行の関係のようです。相手からのレスポンスはないようですね。これでまた主人公は傷つき、また迷いの深みにはまってしまっているのです。
AとBにXYZも交差するよ この絡まる三次元が現実
いい人も悪い人もないっていう理論
テキストにて今日も展開中
<出典>REM/Mr.Children 作詞:桜井和寿
AとBにXYZとは、数学の用語ではないでしょうか。AとBは座標を表す点、XYZはY軸、Y軸、Z軸のこと。なんか中学とか高校で習いましたよね。とってもとっても苦手でしたが。
Y軸、Y軸、Z軸で表される三次元。そこにいろんな座標が存在している。この軸と座標のなかでは、あるものはある点から見ればプラスだし、またある点から見るとマイナスに見えたりします。
いろんなものの見方や捉え方があると、世間ではみんなが言っている。そんな状態をテキストでの展開と表現しているのだと思います。でもそれが世の中を複雑にしていて、主人公の頭はぐちゃぐちゃなのですね。
ヘンゼルとグレーテルが迷い込んだ世界に
もう dang-ding-dong dang-ding-dong dang-ding-dong
どこに行こう。。探してた僕はどこにもいない
こんな理想と違うような愛のない世界なら居たくもない
要らない要らない
<出典>REM/Mr.Children 作詞:桜井和寿
再びヘンゼルとグレーテルが出てきます。
ヘンゼルとグレーテルは、悪い魔女を撃退し、お菓子の家から自分たちの家に帰り着きます。家に着くと自分たちを追い出した母は病死しており、心から自分たちを愛してくれていた父とともに幸せに暮らします。
ですが、主人公はまだ森の中で迷ったままです。理想の自分も見つからない。愛も感じられない。そんな思いを抱えたままさまよっています。
出口を探しているんですが、あなた知らないか?
僕は何故涙流してるの?
<出典>REM/Mr.Children 作詞:桜井和寿
最後のフレーズです。
理想か愛か。どちらかでもこの主人公にチラッと尻尾だけでも見せてくれるといいのですが・・・
現在は傷つき血を流し、希望が見えなくて涙も流してしまっている状態です。
その苦しさや絶望をテーマにした歌詞ということですね。ロックだ。
学びの一言
迷いや苦しみの出口は、見つからないままということもある。
この歌詞では、主人公は最後まで出口を見つけられず、延々と探し続けているままです。
迷いや苦しみからの出口はきっとある。と信じたいところですが、それが見つからないということも、人生を送るうえではあるのかもしれません。
そのときに自分がどうすべきか。ずっと理想を求めてさまようのは、どこかで自分が壊れてしまいます。
理想を下げる。目標を変える。逃げる。あきらめる。場合によってはこれらも有効な生きる術になってくることもある。そんなことを考えさせられます。
▼「重力と呼吸」までの“全曲”詩集。冒頭の桜井さんの作詞に対する熱い想いが超貴重です。
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