Mr.Children「Over」の歌詞の意味と解釈を書いて行きます。
歌詞全体の解釈
まずはこの曲の歌詞全体の解釈から。
オーバー おーばー
ミスチルの別れの曲のなかでも定番で人気の高い曲です。
桜井さんが『Tour2016虹』のMCのなかで、「恋が終わった
(ちなみにこのMCは、シングル「ヒカリノアトリエ」の隠しトラックに収録されていますよ。)
失恋後に聞くと、
歌詞の深読み
ここからは歌詞を抜粋し、独自解釈の深読みをしていきます。
何も語らない君の瞳の奥に愛を探しても
言葉が足りない そうぼやいてた君をふっと思い出す
<出典>Over/Mr.Children 作詞:桜井和寿
歌い出しのフレーズからものすごい表現力です。
“君”の瞳が何も語らないということから、“君”にはもう主人公に対して愛情なんてないということが伝わってきます。好きな相手から自分への興味すら失った目で見られるなんて、つら過ぎますし怖過ぎますよね。
このフレーズは、まさしく別れの瞬間の場面の描写していると思われます。
ただ、主人公にはそうなってしまった心当たりがあるようで、どうやら普段から彼女への言葉かけが足りていなかったようです。それを彼女はぼやいていて、それでこんな別れ話の展開になってしまったのですね。
今となれば
顔のわりに小さな胸や 少し鼻にかかるその声も
数え上げりゃ きりがないんだよ 愛してたのに
心変わりを責めても空しくて
<出典>Over/Mr.Children 作詞:桜井和寿
同じくライブのMCのなかで「物議を醸している歌詞」と桜井さん自身が話していたフレーズです。詳しくは、シングル「ヒカリノアトリエ」の隠しトラックをお聞きください(笑)
とにかく、主人公は彼女の好きなポイントを数え切れないほど意識していたのですね。
そしてこの部分の最後にもうひとつ、大事な情報があります。
彼女は“心変わり”をしてしまったということです。恋愛の話で心変わりと言えば、「他に好きな人ができた」ということをイメージしてしまいますが、この場合もそうなのでしょうか。あとの歌詞にも決定的なことは書かれていません。単に「別れようと思った」という意味の心変わりなのかもしれません。
いざとなれば
毎晩君が眠りにつく頃 あいも変わらず電話かけてやる
なんて まるでその気はないけど わからなくなるよ
男らしさって一体 どんなことだろう?
<出典>Over/Mr.Children 作詞:桜井和寿
この部分の最後の一言については、僕も恋愛に四苦八苦していた当時まったく同じことで悩みまくっていました。
「男らしさとは一体なに?」
この歌詞では、毎晩でも電話をかけて気にかけてあげることと、あっさり潔く身を引くことと、そのどちらが男らしいのか。という2つで迷っています。
う~ん。でも別れてしまった彼女に対してですからね。毎晩電話をかけるのはかなりの確立で不正解でしょうね。
まあ、実際にはその気もない(正確にはその勇気もない)ということですが、そんなことをうじうじ考えてしまっているのです。でもその気持ちも個人的にはすごく共感できます。
夕焼けに舞う雲
あんな風になれたならいいな
いつも考えすぎて失敗してきたから
<出典>Over/Mr.Children 作詞:桜井和寿
彼女のことをまた思い出しながら見上げた夕方の空には、きれいな雲が浮かんでいたのでしょう。
雲のように風に身を任せ、他の雲とくっつくも離れるも流れ次第。そんな感じで生きていけたらこんなに悩んだり傷ついたりしないで済むのに。
考えすぎて失敗してきた主人公はそんなことを考えています。
今となれば
嘘のつけない大きな声や 家事に向かない荒れた手のひらも
君を形成る全ての要素を 愛してたのに
心変わりを責めても君は戻らない
<出典>Over/Mr.Children 作詞:桜井和寿
こういうときに思い出す相手の特徴は、なぜか細かいところだったり、一般的に見ると欠点だったりするところなんですよね。それだけ愛していたということの表れかもしれません。
そして、またここにも名言があります。
そうです。「君を形成(つく)る全ての要素を愛してた」ですね。近くにいたからこそ気づけたような細かい特徴や、欠点とも言えるようなところも全部含めて“君”という人間を愛していたのです。
だけど、うまくはいかなった。恋愛ってそういう一筋縄にはいかないところが究極的に難しいですよね。
いつか街で偶然出会っても
今以上に綺麗になってないで
<出典>Over/Mr.Children 作詞:桜井和寿
これは彼女に対するお願いです。
今以上に綺麗になってしまっていると、偶然出会ったときにまた苦しさにさいなまれるからです。
主人公は、何とか彼女のことを忘れられるように生きて行こうと考えていることが読み取れます。
何も語らない君の瞳も いつか思い出となる
言葉にならない悲しみのトンネルを さあくぐり抜けよう
<出典>Over/Mr.Children 作詞:桜井和寿
別れ話の場面で向けられた彼女の何も語らない瞳。それすらもいつか思い出となる日が来るのだろうと主人公は考えています。
正確には、そんな日が早く来てほしいと思っているのだろうな、なんて僕は考えてしまいます。思い出になるまでずっと苦しいですからね。
「悲しみのトンネル」という表現もまた秀逸です。これをくぐり抜けてまた明るい世界に出ること。これがもうひとつの「over」。失恋を乗り越えるというニュアンスのことを指しています。
学びの一言
失恋の痛手を忘れるのには時間と精神力がかかる。でもこれは大事な何かを得るために必要なこと。
この歌詞と、自分の過去を振り返ってみて、こんなふうに感じます。
本当につらい期間が何か月も(あるいは何年も)続くし、そこには精神的な負担もものすごくかかります。
これが歌詞で言う「悲しみのトンネル」なわけですが、ここを乗り越えた先にはきっと明るい世界が待っているという希望を持ち続けることが大事です。
そのためには、何かしらの価値があると信じていることが必要です。例え大好きな相手にフラれてしまったような自分でも、です。
僕はこの「逆境でも自分を信じるという期間」に人を成長させる要素が詰まっているのではないかと考えます。失恋を乗り越えるのにある程度の時間がかかるのは、きっとそのためなんです。
もし今失恋の痛手のまさしく抱えているという人には、つらいけど、その気持ちを十分に味わうことをオススメしたいです。そのためにも、この「Over」の歌詞に耳を傾けるのはかなり効果的だと思います。
▼「重力と呼吸」までの“全曲”詩集。冒頭の桜井さんの作詞に対する熱い想いが超貴重です。
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