Mr.Children「未完」の歌詞の意味と解釈を書いて行きます。
歌詞全体の解釈
まずはこの曲の歌詞全体の解釈から。
自分自身が望む場所へ向かいたい気持ちと、現実の環境の間でもがく主人公の心境が、さまざまなメタファーを通して語られています。
現代はいろんな生き方ができる時代。資本主義の国に生きていますし、個人がいろんな発信や価値提供ができるようになってきました。
だからこそ、自分の望む生き方と、今いる場所(=現実)とのギャップを感じる人は多いでしょう。僕だってそんな一人です。
このギャップを埋めるのは簡単ではありません。自分に本当の実力がないといけません。そんなギャップをなかなか埋められないでいる自分を、この歌詞のなかでは「飛べない鳥」と表現し、「未完」な存在だと歌っています。
しかし、決して後ろ向きではありません。「いっそ羽なんかもがれちまえばいい」と自分を追い込むこともありますが、自分との約束の場所をひたすらに目指して生きています。
歌詞の深読み
ここからは歌詞を抜粋し、独自解釈の深読みをしていきます。
さぁ行こうか 常識という壁を越え
描くイメージはホームランボールの放物線
そのまま消えちゃうかもな
いいさ どの道いつか骨になっちまう
<出典>未完/Mr.Children 作詞:桜井和寿
歌い出しの歌詞です。
常識という枠にとらわれず、自分の目指す場所に向かって行こうという勢いを感じます。
ホームランのボールのように見えなくなるほど遠くを目指す心意気ですが、それは反対にリスクもあります。もしかしたら失敗して、自分が消えてなくなってしまうようなことになるかもしれません。
それでも、どうせいつかは死んで骨になるのなら、やっぱり目指す場所を目指すのがいい。こんなふうに考えられれば、人生はもっと濃いものになりそうですよね。
離れたり近づいたりして 当てずっぽうのパスワード
あと少しでロックは解除できるはず
そう言い聞かせて狙うお宝
<出典>未完/Mr.Children 作詞:桜井和寿
この歌詞は、自分が思うとおりに物事が運ばないことを表現しています。
当てずっぽうでパスワードを入力し続けるって、なかなか苦しいですよね。
それでも「もう少し」と自分に言い聞かせて挑戦し続ける…。
目的を果たすには、とにかくあきらめず“続ける”ことが一番大事な条件だと僕も信じています。続けていれば可能性は消えませんし、少しずつ成功に近づいて行くはずです。
「いっそ飛べない鳥の羽なんか もがれちまえばいい」
そう ぼやいてみたって未来は手を差し出しちゃくれない
<出典>未完/Mr.Children 作詞:桜井和寿
ここで言う“飛べない鳥”というのは自分自身のことです。自由を目指して悪戦苦闘するも、なかなかうまく行かない姿が、飛べない鳥のように思えてしまうのです。
いっそ、もうまったく望みはないという状況に陥れば、あきらめもつくのに…。という投げやりな心境になってしまうときもありますよね。
しかし、そんなことを思って見たところで事態は好転しません。それも自分でわかってるんですね。
ヘッドフォン フルボリューム 地下鉄のホームで
目をギラつかす資本主義者の巣窟へ
迷い込んできた鳥が
出口を探して飛び廻ってる
<出典>未完/Mr.Children 作詞:桜井和寿
都会の地下鉄のホームはまさに資本主義者の巣窟に見えます。そこへ迷い込んできた鳥というは、自分自身のこと。
そんな資本主義者たちに惑わされないように、ヘッドフォンをして大音量で周囲の音を遮断しています。
そうしてどこかに出口はないか、自由に自分らしく生きる術はないかを模索している様子が描かれている歌詞です。
さぁ ユニフォームを脱いで自由を手にしたらいい
例えば僕は武将で慕った家来が寝返ったって良い
<出典>未完/Mr.Children 作詞:桜井和寿
この“ユニフォーム脱ぐ”とは、会社や組織に所属しつつ、心の中ではもっと自分が望む生き方を狙っていくとか、そういうことだと思います。
自分の望みがその組織では叶えられないならば、組織にまるっと全部染まってしまうのではなく、もっと自分を出して行けばいい。そんな生き方を勧めているわけですね。
しかしそれは逆のことも言えます。もし自分が武将(組織のトップ)だったとしたら、慕った家来(仲間)が寝返って組織から抜けて行ったり、あるいは敵に回ったりするケースも覚悟しているよ、ということをここでは言っています。
つまり、自分のことも他者のことも自身の思うように生きる権利があると考えているのですね。
今日も僕は昇ってく
時に下り また昇る
繰り返しながら いつか辿り着く
胸の中の約束の場所へ
<出典>未完/Mr.Children 作詞:桜井和寿
何かを成し遂げる過程では、うまく行くときと、調子が悪くて苦しいときとがあります。
その上昇と下降を繰り返しながらも、最後には自分との約束の場所へ辿り着く。そんなビジョンを持って生きていくのが大事なんですよね。
ずっと調子よく上り調子で進んで行けば悩みもなくて最高ですが、やっぱりそうは行きません。下がり調子のときでも、「これは昇るために必要な経験」と思えれば、怖いものなしです。
学びの一言
人生を生きるうえで目指すべきは、自分との約束の場所。思考はポジティブに。それでも“未完”な存在の僕たちは、うまく行くときも行かないときも経験することになる。
このことを最初から心得ておくととても心強いです。目指すべき生き方と、そこへ辿り着くまでの紆余曲折のことも示唆してくれる歌詞だと感じます。
たぶん、僕たちは骨になるまでずっと“未完”なんです。どうせ一生“未完”ならば、変に慎重になりすぎず、自分との約束の場所を全力で目指す生き方をしていきたいものです。
▼「重力と呼吸」までの“全曲”詩集。冒頭の桜井さんの作詞に対する熱い想いが超貴重です。
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