Mr.Children「ほころび」の歌詞の意味と解釈を書いて行きます。
歌詞全体の解釈
まずはこの曲の歌詞全体の解釈から。
“胸にできたほころび”。失恋の悲しみをこのように喩えています。とても上手い表現ですよね。
前半の部分で失恋してしまったことを示し、後半では別れた彼女と過ごした楽しい場面を回想しています。じっくり聞いていると主人公の失恋を追体験させられてしまう一曲です。
今まさに失恋の痛みを負っている人ならば、その痛みに主人公が同じ仲間として寄り添ってくれる、そんな曲に聞こえるのではないでしょうか。
歌詞の深読み
ここからは歌詞を抜粋し、独自解釈の深読みをしていきます。
ほころんだ場所がこの胸にある
悲しみを跨いだ時 出来たのかな?
ほつれた糸を無意識で引っ張る
するりするりとほどけていった
<出典>ほころび/Mr.Children 作詞:桜井和寿
「悲しみを跨いだ時出来た」「ほつれた糸」「無意識で引っ張る」
以後の歌詞でこれらが失恋後の心境を喩えているのだとわかると、なんて的確に気持ちや行動を表現しているのだろうと感服してしまいます。
ほころびから飛び出した糸って、気になって触ってしまいますよね。そしてほころびが余計広がって。
失恋の悲しみも、ふとしたときに思い出してしまうものです。そしてその思い出をあれこれ引っ張り出して、余計つらくなってしまう。こんなこと、まさにあるあるですよね。
水玉模様のスカートが揺れる
晴れた日の公園 よく 覚えてる
キンモクセイが植わった木陰を見つけた
ビールなんか飲んで 手だけつないで
<出典>ほころび/Mr.Children 作詞:桜井和寿
主人公が思い出した想い出がこちら。とても色鮮やかな記憶です。
キンモクセイの香りとその木陰。すてきな背景が浮かんできたところでビールというまさかのアルコールが登場。でも、そんな場所でビールを飲んで楽しむ。それがこの2人の付き合い方だったのでしょうね。2人の人物像や関係性が伝わってきます。
気持ちがよくて ウトウトして
まぶた閉じた
君の匂いが好きだった
甘い匂いがした
夢から覚めると独りぼっち
君はもういない
寝転がってる君はいない
<出典>ほころび/Mr.Children 作詞:桜井和寿
ここの歌詞、胸にぐっとくるものがあります。主人公の寂しさ、悲しみがあまりにも想像でき過ぎてしまうから。
主人公は彼女との想い出を思い出しながら、ウトウトしていたか眠っていたか、とにかく目を閉じていたのです。
そして、芝生に2人で横になっている場面を思い出したところで目が覚めた。だけど、さっきまでいたはずの夢の中の“君”は、現実の世界にはいない…。
想い出の過去から現実へ、一瞬で移動してしまいました。そのたった一瞬で“君”の姿はなくなってしまった。「“君”は今はもういないんだ」という事実を改めて強烈に感じてしまった主人公の気持ちがガツンと伝わってきます。
学びの一言
よみがえる想い出が明るくて楽しいものならば、その恋はいい恋だったのだと思う。
この歌詞の主人公は、まだ失恋して日が浅く、胸にできたほころびは大きくて、想い出がこぼれ出てきてしまう状態です。
しかし、こぼれ出てくる想い出がこの歌詞のように明るくて楽しいものならば、きっといい相手といい恋をしていたのだろうと思います。
別れ方がどうだったのかはわかりませんが、こぼれ出る楽しい想い出がほころびをふさぎ、目立たなくなるときがきっと来ます。
恋をするときに失恋は付きもの。胸のほころびからどんな想い出がこぼれ出るかは、その恋が自分にとってどんな恋だったかを気づかせてくれるのかもしれません。
▼「重力と呼吸」までの“全曲”詩集。冒頭の桜井さんの作詞に対する熱い想いが超貴重です。
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