Mr.Children「幻聴」の歌詞の意味と解釈を書いて行きます。
歌詞全体の解釈
まずはこの曲の歌詞全体の解釈から。
「幻聴」と聞くと、「ちょっと病んでるのかな?」「大丈夫かな?」なんて思ってしまうのが一般的なイメージだと思いますが、この曲で言う「幻聴」は自分を前に進ませてくれる原動力のこと。
自分を求めてくれる、そして自分もそれに応えたくなるような誰かだったり、特定の“君”の声のことです。
実際に音や声として聞こえているわけではないけれど、自分を確かに動かしてくれるイメージの声は、何にも代えがたい宝物ではないかと思います。
歌詞の深読み
ここからは歌詞を抜粋し、独自解釈の深読みをしていきます。
やっと一息つけるねって思ったのも束の間
また僕は走り出す
決してのんびり暮らすのが嫌いなわけじゃない
でももう一度走り出す
<出典>幻聴/Mr.Children 作詞:桜井和寿
何か目標を1つ達成したところで、そこで休むことなくまた次に向かって走り出す。
周りから見るととても殊勝に見えるし、本人も少し休んでもいいかもしれないなと思うところがあるのですが、何かの衝動や思いに突き動かされてしまうんですね。
では、どんな思いによってまた走り出そうと思うのか。それが以降の歌詞に書かれています。
このフレーズは、次々精力的に新たな曲を作り出すMr.Childrenの姿が投影されているようにも思えます。
夢から夢へと橋を架けて渡る
そんなイメージが駆け巡り
<出典>幻聴/Mr.Children 作詞:桜井和寿
1つの夢や目標を達成したら、その次の景色が見えてくる。そうするとまた次の夢、次の夢とイメージが広がって行くということでしょう。
こうやってポジティブに生きていくことが出来たらなんて理想的なんだろうと思います。
向こうで手招くのは宝島などじゃなく
人懐っこくて 優しくて 暖かな誰かの微笑み
遠くで すぐそばで 僕を呼ぶ声がする
そんな幻聴に 耳を澄まし追いかけるよ
<出典>幻聴/Mr.Children 作詞:桜井和寿
サビの歌詞です。
夢から夢へとどんどん進んで行く主人公ですが、その先にあるのは宝島のような輝かしいものではなく、誰かが笑ってくれる未来なのです。
「遠くで すぐそばで」ということは、いろんなところから自分を呼んでいる声を感じるということですね。つまり、ここで言う誰かは1人ではなく、いろんなところにいる多くの人だと解釈できます。
ただし大事なのは、あくまで幻聴であるということ。主人公自身もそれをわかっています。つまり、自分を呼んでいる声というのは主人公のイメージの産物です。しかし、100%が根拠のないイメージではなく、過去の実績からある程度の自信や確信を持っていると感じられます。
主人公はこの幻聴を自らのイメージで起こして、自分をポジティブに前に進める原動力にしているのです。
切り札を隠し持っているように思わせてるカードは
実際は何の効力もない
だけど捨てないで持ってれば
何かの意味を持つ可能性はなくない
<出典>幻聴/Mr.Children 作詞:桜井和寿
このフレーズも、自分が胸の奥にそっと大事に抱えている夢のことを指しています。
持っているだけで実際の効力は何もないけれど、その夢を自分が確かに持っていることに価値があるという意味です。
将来、どこかでその夢を具体的な目標に掲げることができる自分になっているかもしれません。そのイメージを持って今できることに向き合おうという姿勢が感じられます。
僕を手招くのは華やかな場所じゃなく
口下手で 人見知りで ちょっと寂しがり屋の溜息
遠くで すぐそばで 君の呼ぶ声がする
そんな幻聴に 耳を澄まし追いかけるよ
<出典>幻聴/Mr.Children 作詞:桜井和寿
2番の歌詞です。
ここでははっきりと“君”という言葉がでてきており、幻聴で聞こえる声の主は“君”という人物であると考えられます。もちろん、口下手で人見知りで寂しがり屋というのもこの“君”のこと。
「遠くで すぐそばで」というフレーズはここにもありますが、これは主人公が“君”と近い将来でも遠い未来でも一緒にいたいという想いからくるものではないでしょうか。
とにかく主人公にとってこの“君”なる人物は大切な人。自分が前に進む原動力であり、背中を押してくれる存在であることが伝わってきます。
学びの一言
自分のことを求めてくれる人や場所をセルフイメージすることは、何にも勝る原動力となる。
すでに何度か先に書いてきたこのことがこの曲からの学びです。
同じ一生を送るなら、前向きにポジティブに生きて行きたいものです。そして、常に夢や目標もちゃんと持っていたい。僕はそう思います。
世の中にはつらいことや乗り越えるのが難しい問題も多々用意されています。それでもくじけず、夢や目標に向けて進んで行きたいと思ったとき、誰かや、あるいは何かが自分を求めて呼んでくれているイメージを持つことは、とても大事なことです。
そのイメージが前に進むためのガソリンとなり、背中を押してくれるものなのです。
▼「重力と呼吸」までの“全曲”詩集。冒頭の桜井さんの作詞に対する熱い想いが超貴重です。
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