Mr.Children「エソラ」の歌詞の意味と解釈を書いて行きます。
歌詞全体の解釈
まずはこの曲の歌詞全体の解釈から。
キラキラしたMVのイメージとリズムよく明るいメロディの印象が強く、歌詞を読んでいてもキラキラしと華やかな光景が浮かんできます。
「エソラ」のタイトルは、「『絵空事』という言葉があるけど、最後の“事”があるからネガティブな言葉になっているだけで、それを取ってしまえば前向きでいい言葉になると思ったから」と桜井さんが何かテレビのインタビューで答えていたのを覚えています。
音楽を聴く主人公の姿を通して、リスナーの僕たち全員に元気をくれる。そんなメッセージが散りばめられています。
歌詞の深読み
ここからは歌詞を抜粋し、独自解釈の深読みをしていきます。
二足歩行してる空っぽの生きもの
無意識にリズムを刻んでいる
フルボリュームのL-Rに
萎んでた夢が膨らんでく
<出典>エソラ/Mr.Children 作詞:桜井和寿
出だしの1フレーズはかなりネガティブな表現からはじまっています。これはこの歌詞の主人公のことを言っていて、主人公は自分が空っぽの生きものだと感じていることがわかります。何か落ち込むような出来事があったのかもしれません。
しかし、次からのフレーズでその光景は一変します。
主人公は音楽を大音量で聴いて歩いていたのです。L-Rはイヤホンやヘッドホンのこと。その音楽の力で落ち込んでいた主人公の脳内に夢や希望が充満してきた…!
こんな場面からこの歌詞はスタートします。
君が話してたの あそこのフレーズだろう?
まるで僕らのための歌のようだ
君はどんな顔して聞いてたの?
甘く切なく胸を焦がす響き
<出典>エソラ/Mr.Children 作詞:桜井和寿
この部分の歌詞が個人的にとても好きです。
主人公は明らかに“君”に恋していることがわかります。そして、恋をしていると相手が話題にしていた曲って絶対気になって聞いちゃいますよね。そこがピュアな感じがして好きなんです。
そして僕たちのための歌のようだなんて思っちゃう。…僕にもそんな時期があったなぁ。
さらにその話題のフレーズをどんな顔をして聞いていたのかに想いを馳せる感じもいいですね。そんなことを考えていると、甘くて切ない気持ちになってくる。その心境がくっきりと描かれています。
メロディーラインが放ったカラフルな魔法のフレーズ
輝きを撒き散らしては僕らに夢を見せる
明日へ羽ばたく為に 過去から這い出す為に
Oh Rock me baby tonight
ほらもっとボリュームを上げるんだ
<出典>エソラ/Mr.Children 作詞:桜井和寿
音楽からもらえる不思議な力。これをとても素敵な表現で書き上げているサビの歌詞。
音楽がくれる力は聴く人によって効力もそれぞれで、ある人には明日へ向かう気持ちを後押ししてくれたり、ある人にはつらい過去から這い出す強さをサポートしてくれたりするのです。
そして最後は「もっとボリュームを上げて気持ちも上げて行こうぜ!」というロックなメッセージになっています。
雨に降られたら 乾いてた街が
滲んできれいな光を放つ
心さえ乾いてなければ
どんな景色も宝石に変わる
<出典>エソラ/Mr.Children 作詞:桜井和寿
雨降りと聞くと、どうしてもマイナスのイメージが湧いてしまうもの。
しかし、このフレーズでは雨で濡れた街の景色がきれいに見えるというポジティブな捉え方を示しています。
心が潤っていて豊かであれば、ネガティブなこともポジティブに捉え直すことができる。そのことを知っていて、考え方をシフトすることができれば、前向きな行動が取れたり、楽しい気持ちで過ごすことができます。
「雨」「光」「宝石」といった言葉が、この歌詞に散りばめられたキラキラ感を演出していますよね。
やがて音楽は鳴りやむと分かっていて
それでも僕らは今日を踊り続けてる
忘れないために 記憶から消す為に
Oh Rock me baby tonight
また新しいステップを踏むんだ
<出典>エソラ/Mr.Children 作詞:桜井和寿
2番の歌詞です。
音楽のことを取り上げて書いていますが、これはすべてのことに言えることではないでしょうか。
すべてのことは有限でいつか終わりがきます。それを分かったうえで僕たちはその恩恵を受けて踊るように楽しく生きているのです。
終わりがきたときのことを今から考えて踊らないのはもったいないこと。むしろ、いつか終わりがくるからこそ、今を精一杯楽しんで味わわないといけないのです。
今日が終わればまた明日。そのたびに終わりが近づいてはくるけれど、明日は明日で新しいステップを踏んで行こう。そんな爽やかなメッセージが込められています。
踊りの“ステップ”と、ステップアップの“ステップ”がかかっているのもオシャレです。
学びの一言
音楽の力は希望を補充してくれたり、心を潤わせてくれるもの。プラスのイメージが膨らんだら、そのイメージのままに空に絵を描こう。
音楽を聴くと、力をもらえたり心の傷が癒されたりしますよね。僕も失恋や仕事での失敗、先の見えない不安などを抱えたとき、何度音楽に助けられたことか。ちなみにその大半がやっぱりミスチルでした(笑)
ネガティブなものをポジティブに捉えていこうというメッセージに溢れた歌詞ですが、もしかしたらそれは“絵空事”なのかもしれません。でも、最初に書いたとおり、作詞した桜井さんはそんな“絵空事”を本物にしたいという願いで「エソラ」というタイトルをつけています。
何かの本で、「世の中は勘違いした者勝ち」という言葉を読んだことがあります。また、「思考は現実化する」というのもよく言われる言葉です。
音楽の力を借りて、ネガティブをポジティブに変換できたら、そのイメージのままに空に絵を描きましょう。そしてそこに向かってステップを踏んでいくのです…!
▼「重力と呼吸」までの“全曲”詩集。冒頭の桜井さんの作詞に対する熱い想いが超貴重です。
コメント