Mr.Children「Drawing」の歌詞の意味と解釈を書いて行きます。
歌詞全体の解釈
まずはこの曲の歌詞全体の解釈から。
ドローイング ドロウイング どろーいんぐ
優しいメロディーに桜井さんのしっとりとした声がとても美しい、柔らかく暖かいラブソングです。
主人公は、“君”のことを想いながら、過去の記憶、未来への希望、そして自分の願いを頭の中に描ています。
しかし、頭に描いた“君”との思い出も、永遠に残るものではないことをわかっていて、その儚さについてぼんやり考えているようです。
結局、そんなことを考えていること自体が、恋をしているということなんですよね。
主人公はいつでもどこでも“君”のことを頭に思い“描いている”。これがタイトルの「Drawing」の意味なのではないかと僕は解釈しています。
歌詞の深読み
ここからは歌詞を抜粋し、独自解釈の深読みをしていきます。
遠い遠い子供の頃夢で見た景色が
一瞬フラッシュバックしたんだ
笑いながら僕の頬にキスをする少女が
君とオーバーラップして
<出典>Drawing/Mr.Children 作詞:桜井和寿
このフレーズからわかることは、“君”が主人公の頬にキスをしたということ。
ただこれだけの事実を伝えるのに、とても素敵な描写がされています。
子どものころにこんな夢を見るなんてかなりませている気がしますが、イメージされる映像はとても可愛くて微笑ましいですよね。
淡い光の曇り空に
フワフワな時を刻んでいく
この素晴らしい 煩わしい気持ちを
真空パックしておけないもんかなぁ
<出典>Drawing/Mr.Children 作詞:桜井和寿
そのときに主人公が見た空は曇り空でした。しかし、その曇り空を、主人公は「淡い明るさが感じられて、フワフワした雲が浮かんでいる」と認識しています。
“君”からのキスで、心が喜びと幸せに満たされていることが読み取れます。
そして主人公は、この瞬間の自分の気持ちや周りの空気を、なんとかそのまま保存できないものかと望みます。
絵に描いたとしても
時と共に何かが色褪せてしまうでしょう
永遠はいつでも 形のない儚い幻影
君と共に 僕の元に
<出典>Drawing/Mr.Children 作詞:桜井和寿
しかし主人公は現実もちゃんと分かっている人物で、今の場面や気持ちをそのままの状態で永遠に保存するのは不可能であることをわきまえています。
例えば今の場面を絵に描いておいたとしても、時が経つにつれて色褪せてしまうだろうと考えているのです。
そして、永遠に残るものがあるとすれば、形はなく、あいまいで壊れやすい、まるで幻のような記憶くらいなものだろうと思っています。
その記憶には“君”がいて、僕の元に保存されるんだ。主人公はそんなことを一人考えています。
もっともっと上手にいろんな絵を描けたなら
やっぱり君を描きたいな
僕にとって君とは つまりそう小さな点
そしてあらゆる総て
<出典>Drawing/Mr.Children 作詞:桜井和寿
主人公の“君”への想いが感じ取れるフレーズです。
いろんな場面の“君”の絵を描きたい。つまり、“君”といっしょに過ごす時間をどんどん作って、思い出を増やしていきたい。こんなふうに考えているのがわかります。
また、主人公にとって“君”は細胞や原子のような小さなものであり、同時にこの世を構成するすべてだと、壮大な愛を語っています。
なんて素敵で詩的な歌詞なんでしょう。
デタラメと嘘の奥に
本当の答えが眠っている
この素晴らしい 慌ただしい
人生を二人三脚で超えて行けるかなぁ
<出典>Drawing/Mr.Children 作詞:桜井和寿
真実や本音というものは、得てして嘘や建前などのデタラメのなかにある。主人公はこんな価値観を持っている人物のようです。
でも、なんとなくわかりますよね。物事はよく見ないと本当のところがわからないということは多々ある気がします。
また、これは主人公の“君”への気持ちのことも表していると思われます。本当の想いは照れ臭くて言えなくて、冗談や軽いノリで覆ってしまっているけど、その奥には“君”がとても大切だという気持ちを持っているんだよというニュアンスです。
そんな味わい深くい物事に溢れた人生を、“君”と二人で過ごして行けたら…と主人公は望んでいます。
どんな場面でも
僕の絵には必ず君が描かれていて
目を閉じたまま深呼吸してみれば分かる
君はいつも 僕のノートに
<出典>Drawing/Mr.Children 作詞:桜井和寿
ここで言う“絵”や“ノート”とは、主人公の思い出や記憶のことを指しています。
目を閉じて深呼吸するのは、記憶をたどるためです。
いつの記憶にも“君”の存在が必ずあって、それこそが僕の人生なんだと感じているのです。
どこまでも“君”の存在は主人公にとって大きいものであることがわかりますね。
学びの一言
自分の一番の思い出や普段の出来事を絵に描こうとしたとき、誰かが登場するのはとても尊いこと。
この歌詞を読んでいると、主人公はとても幸せな人生を送っているんだなとしみじみ感じます。
自分の思い出や記憶を絵に描こうとしたら、必ず“君”が出てくるのですから。それだけ主人公は“君”のことを大事に思っているわけです。
言い換えると、それだけ大事な人と出会うことができ、ちょっと切ない思いをすることはあっても、親密な関係を持つことができているということです。
これは誰でもできることとは限りません。そういう人に出会わずに過ぎて行く人生だってたくさんあるはずです。
主人公を始め、同じように大切な人と人生を生きることができている人は、そのことに全力で感謝し、大切に大切に過ごさないといけないと感じさせられます。
あなたには、絵を描こうとしたら必ず描き入れたい人はいますか?
▼「重力と呼吸」までの“全曲”詩集。冒頭の桜井さんの作詞に対する熱い想いが超貴重です。
コメント
素敵な解説すぎて泣きそうになりました。
大切にしたい人をずっと大切に思っていきたいです。
大変うれしいコメントありがとうございます!
お返事遅くなってしまい申し訳ありませんでした。
また遊びにきてくださいね!