Mr.Children「SUNRISE」の歌詞の意味と解釈を書いて行きます。
歌詞全体の解釈
まずはこの曲の歌詞全体の解釈から。
この歌詞の主人公である“僕”は、自分という人間の価値を見失っている状態にあるのではないでしょうか。何か大きな挫折を経験して、自分の世界に閉じこもってしまっています。
けれど、どこかで「SUNRISE(日の出)」がやってくることを信じていて、前に進まないといけないという気持ちと、自分なんかに何ができるのかという気持ちが葛藤しているようです。
希望と自信のなさの間で揺らぐ経験は、僕もあります。学生のころや社会人になりたてのころは、家に帰れば部屋に閉じこもり、「こうなりたい」「でもおれなんかに…」と鬱々としていたのを覚えています。
この葛藤の時間は確かに苦しいのですが、人生において必要な時間であり、ステップだと思います。この歌詞の主人公も、20代そこそこの年齢で、大人にならなきゃという焦りの気持ちと、少年の日々に戻りたいという気持ちを併せ持っている人物なのではないでしょうか。
歌詞の深読み
ここからは歌詞を抜粋し、独自解釈の深読みをしていきます。
公園の方から笑い声
最後に笑った日 思い出そうとしてやめて…
<出典>SUNRISE/Mr.Children 作詞:桜井和寿
主人公の“僕”は結構病んでいる様子ですね。
公園からの笑い声を聞き、自分はしばらく笑っていないことを思い出します。試しに最後に笑った日を思い出そうとしますが、すぐにそれをやめます。
過去のことを思い出すと余計なこともいっしょに思い出してしまうからでしょうか。それとも、そんなこと思い出しても意味ないと瞬時に考え直したからでしょうか。
どちらにしても、何か大きな挫折をしたのかなということが、この歌詞から想像できます。
思い切り息を吸い込んで この想いを空に放ちたい
自分の世界に閉じこもった 冴えない気分から抜け出して
どんなときだってサンライズ この胸に輝かせていたいんだ
<出典>SUNRISE/Mr.Children 作詞:桜井和寿
この想いとは、挫折をしたことにより、次の取るべき行動を取る気力が湧いてこない自分をもどかしく思う気持ちのことでしょう。
それを空に放り出してしまって、サンライズ(日の出)がやってくるイメージを胸に持ち続けていたい。そんな心境が描かれたサビの歌詞です。
ここから、鬱々と次の行動を取れない気持ちと、いつも希望を持っていたいという真逆の気持ちを併せ持っている状態であることがわかります。
大きなもの 揺るぎないもの
そう疑いもしないで過ごした
家族の愛にいつも守られて
どうしてこんな 不確かなものを
無邪気に信じていれたんだ
どうしてこんな 不安定なものを…
<出典>SUNRISE/Mr.Children 作詞:桜井和寿
ここで書かれているのは、ずばり“自分という人間の価値”のことだと解釈できます。
家族から大きな愛を受けていた幼少期には、自分は価値のある人間だと大きな確信と揺るぎない自信があったのです。
しかし、少し大人になって挫折を経験した今では、自分の価値なんてとても不確かで不安定なものだと感じているワケですね。
少年の日々を回想うとき
不思議なほど幸福な気持ちが僕を包む
<出典>SUNRISE/Mr.Children 作詞:桜井和寿
これは前の歌詞と話が続いています。
少年の日々には、家族からの愛で守られていました。だから今でもそのころのことを思い出すと、幸福感が蘇ってくるということなんですね。
思い切り両手を伸ばして あの優しい空気に触りたい
僕を金縛りにする すべての迷いを引き千切って
まだ分かりたくはない どうせいつか思い知らされるんだ
<出典>SUNRISE/Mr.Children 作詞:桜井和寿
あの優しい空気というのは、先ほどから出てきている少年のころ家族の愛に守られていたころの思い出のことですね。
今はいろんな迷いがあり、身動きが取れないでいるので、あのころ自分の価値を自然に信じていれたときの優しい思い出を思い返しています。
そして、この抜粋の最後のフレーズ、“まだ分かりたくはない”とは何のことか。これは、実際自分にはそこまで大きな価値はないということです。それをまだ分かりたくないと言っているのです。
少年のころは自分に価値があると信じていた。そんなことをまだ思い出すということは、なんだかんだ今でもまだ自分の価値を信じる気持ちがどこかにあるということ。
だから、いつか思い知らされるその日まで、自分の価値を信じていたい。そんな心の奥底の本心が垣間見えるフレーズです。悩める男の心は複雑なんですよね。
Sunrise brightens up
<出典>SUNRISE/Mr.Children 作詞:桜井和寿
間奏のように繰り返し歌われるこの歌詞。直訳すると「日の出は明るくなる」となると思うのですが、つまり「日の出はすべてを明るく照らす」という意味合いの言葉ではないかと思いながら聞いています。
このフレーズが主人公の本心「いつか日の出(希望の光)がやってくる」という想いを映し出しいるのですね。
誰かを愛したり 抱き合ったり
繰り返すいのちに少し今も胸が躍る
<出典>SUNRISE/Mr.Children 作詞:桜井和寿
歌詞を全体に的に見通すと、この歌詞は少しだけ異色な感じがします。
しかし、ちょっとだけ深読みすると、他の歌詞とのリンクや掛け合いに気づきます。
ひとつは、サンライズ(日の出)は毎日毎日繰り返しやって来て、新しい一日をスタートさせるということ。これが“繰り返すいのち”とリンクしていますよね。
もうひとつは、少年のころ家族の大きな愛を受けていた主人公としては、新しいいのちが生まれるたびに、そこに愛も生まれるというふうに考える人間じゃないのかなと思えること。
だから、将来的自分も誰かを愛し、子どもができたら、自分が受けたような愛を与えてあげたい。そのくらいずっと先のことを考えると、少し胸が躍るという心境なのです。
挫折をして自分の世界に閉じこもりながらも、このような心境が芽生えてきているのならば、また立ち上がって再スタートを切り、希望をつかむ日(サンライズ)がやってくるのはそんなに遠くないのではないでしょうか。
学びの一言
挫折をして自分だけの世界に閉じこもってこれからのことを考える時間は必要なものいつかサンライズが訪れるとさえ信じていれば、きっと自分の世界は照らされる。
この歌詞の主人公が偉いのは、「サンライズがいつかやってくる」という希望を捨てないところです。鬱々と悩む気持ちも書かれていますが、それによって希望を信じている気持ちも浮き彫りにされています。
暗闇の真っただ中にいるときは、日の出が来るなんて考えられませんが、それでも心のどこかで絶えず信じるしたたかさを持っていたいものですね。
▼「重力と呼吸」までの“全曲”詩集。冒頭の桜井さんの作詞に対する熱い想いが超貴重です。
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