Mr.Children「生きろ」の歌詞の意味と解釈を書いて行きます。
歌詞全体の解釈
まずはこの曲の歌詞全体の解釈から。
歌詞を読んでいると、2020年代というこの時代背景を強く感じてしまいます。
新型コロナウイルスに、ロシアのウクライナ侵攻。
日常の暮らしが奪われ、誰もが不安と隣り合わせに生きる時代。
「思いきり笑える その日が来るまで 生きろ」
というフレーズが、確かな重さを持って力強く心に響きます。
また、歌詞を物語として読むと、第三者の目線から必死に生きる主人公を見ているような構図に見えます。
その第三者は、歌い手の桜井さんであったり、僕たち一人ひとりの人間だったり、あるいは自分の中のもう一人の自分だったりするのかもしれません。
主人公もまた、この世界に生きる一人ひとりの人間だったり、特定の大事な人だったり、自分自身だったり。
この辺の解釈の仕様で、聴く人それぞれの物語が生まれてくる歌詞だと感じます。
映画『キングダム2 遙かなる大地へ』への主題歌としても起用されており、この映画の世界観も、作り手の桜井さんとしては組み込んでいることをコメントしています。
MVも公開されましたね!
歌詞全文(引用)
固く握った 震える掌
交わした約束が 脈打ち続けてる行く先々で 触れ合う温もり
優しさが苦しくて 幻だと言い聞かせ跳ね返した眩い軌道を描き 流星が夜を駆ける
自分は小さな点(いのち)の一つでしかない
その当たり前を突きつけてくるんだそれなら
追いかけろ 問いかけろ
いっそ裸足のままで 血をたぎらせながら
つまらぬ
水掛け論 鍵掛けろ
減らず口を塞いだら
思いきり笑える その日が来るまで瞼腫らして 泣き明かした夜は
薪をくべた炎の中で揺れている鼻を突く嫌な匂いと 人恋しくなる光
とを同時に空へと放ちながら
蒼い煙は風に乗り消えた次第に
燃え盛る 湧き上がる
想いは今も変わらねえ
夢に跨ったまま
そこから
またひとつ 強くなる
失くしたものの分まで
刻まれた傷を道標にして
行こう追いかけろ 問いかけろ
いっそ裸足のままで 血をたぎらせながら
ここから
またひとつ 強くなる
失くしたものの分まで
思いきり笑える その日が来るまで
生きろ生きろ
<出典>生きろ/Mr.Children 作詞:桜井和寿
歌詞の意味を深読み
ここからは歌詞を抜粋し、独自解釈の深読みをしていきます。
固く握った 震える掌
交わした約束が 脈打ち続けてる
<出典>生きろ/Mr.Children 作詞:桜井和寿
「固く握った」とくれば、「拳」がきそうなところですが、「掌」と表現されているのが特徴的です。
敢えて「掌」なのは、“その手の中に何かが握られている”ということを暗に伝えるためではないかと僕は解釈します。
その何かというのが、主人公が大切な人と交わした約束であり、その約束は力強く脈を打って「生きて」いるということも読み取れますね。
行く先々で 触れ合う温もり
優しさが苦しくて 幻だと言い聞かせ跳ね返した
<出典>生きろ/Mr.Children 作詞:桜井和寿
「温もり」や「優しさ」が苦しいのはなぜか。
それは、主人公自身には人に温もりや優しさを与えられるほど、周りや他人を見る余裕がないから。
自分の夢や目標、生きる道を探すのに必死なのです。
「温もり」や「優しさ」を与えられる他人が、自分より優れた存在に感じてしまう。
だからこそ、幻として扱ってしまうし、その方が楽だと感じてしまうのでしょう。
眩い軌道を描き 流星が夜を駆ける
自分は小さな点(いのち)の一つでしかない
その当たり前を突きつけてくるんだ
<出典>生きろ/Mr.Children 作詞:桜井和寿
ここも、主人公が自分の存在を小さいものと捉えていることが読み取れるフレーズです。
無限に広がる夜空(宇宙)のなかで、眩い光を放ちつつも一瞬で消えてしまう流星。
その姿を自分の命と重ねてしまうのですね。
それなら
追いかけろ 問いかけろ
いっそ裸足のままで 血をたぎらせながら
つまらぬ
水掛け論 鍵掛けろ
減らず口を塞いだら
思いきり笑える その日が来るまで
<出典>生きろ/Mr.Children 作詞:桜井和寿
サビの歌詞です。一気に視界が開け、力強いエネルギーを感じるフレーズです。
約束があり、目標があり、そこを目指さないといけないと決めている。
「それなら」はここにかかる一語です。
無防備で飾るものもない裸足のままで、自分の身一つ、覚悟一つだけが頼りでも、追いかけろ!
このパワーに、リスナーの心も湧き上がります。
そして最後の「思いきり笑える その日が来るまで」、ここでふっと明るい印象を加えてくれるのもいいですね。
瞼腫らして 泣き明かした夜は
薪をくべた炎の中で揺れている鼻を突く嫌な匂いと 人恋しくなる光
とを同時に空へと放ちながら
蒼い煙は風に乗り消えた
<出典>生きろ/Mr.Children 作詞:桜井和寿
たき火をしているかのような描写。
一人で目標に向かう日々を送る主人公の姿を、このように描いています。
一人静かに炎を見ていると、泣いた夜のことを思い出す。
その炎は、苦い想い出(嫌な匂いのする煙)と、孤独の寂しさ(人恋しくなる光)を発します。
これらが同時に風に消え、次のサビに向けて場面が変わっていきます。
「蒼い」は、寒々とした灰色も含む色なんですよね。敢えて「青」ではなく「蒼」を使っているのにも納得です。
次第に
燃え盛る 湧き上がる
想いは今も変わらねえ
夢に跨ったまま
そこから
またひとつ 強くなる
失くしたものの分まで
刻まれた傷を道標にして
行こう
<出典>生きろ/Mr.Children 作詞:桜井和寿
先ほどの炎からの繋がりを感じる2番のサビです。
主人公が夢を持ったのは、もうかなり前のことなのでしょう。
それでも、今もなお想いは変わらない。
なんだか桜井さん自身のことを歌っているようにも感じますよね。
長い旅路の中で、失ったものもあれば、傷ついたこともある。
でも、それらをもエネルギーに変えて前へ行く。
まさしく心の底から湧き上がるような勇気をもらえるフレーズです。
追いかけろ 問いかけろ
いっそ裸足のままで 血をたぎらせながら
ここから
またひとつ 強くなる
失くしたものの分まで
思いきり笑える その日が来るまで
生きろ生きろ
<出典>生きろ/Mr.Children 作詞:桜井和寿
最後の歌詞です。
1番と2番の歌詞、それぞれ熱いエネルギーをに感じるフレーズをくっつけた歌詞になっています。
「思いきり笑える その日が来るまで」、生きがいや誇りを持って生き抜いていきたいものです。
コロナも戦争も克服し、みんな笑って生きる世界を。必ずそこに辿り着きたい!
そんな気持ちにさせられる、熱い熱い歌詞です。
歌詞解釈からの学び
「生きろ」という言葉は、最大級の祈りである。
この記事を書くにあたり、「生きろ」という言葉をじっと眺めたり、何度か口に出したりしてみました。
強い命令形の言葉ですが、この「生きろ」という言葉においては、高圧的な印象とか乱暴さを感じません。
それは「生きてほしい」という祈りが叫びとなって出てくる言葉だからではないかな、と考えます。
生物にとって、生きることは天から与えられた最大の使命。つまり、「生きろ」とは最大級の祈りと言えるのではないでしょうか。
日本においてもコロナはまだまだ猛威を振るっています。
物価が上がったり、20年ぶりの円安になったり。生活を脅かされることはいくつもあります。
だけど、だからこそ「生きろ!」
家族、友人、そしてこの記事をここまで読んでくれたあなた、そしてそして僕自身にも、「生きろ」って心から叫んで、僕なりの最大級の祈りを捧げたいと思います。
▼新曲つながりでこちらの曲もよかったら。
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