Mr.Children「HERO」の歌詞の意味と解釈を書いて行きます。
歌詞全体の解釈
まずはこの曲の歌詞全体の解釈から。
ヒーローというと、たくさんの人を救ったり悪の組織を壊滅したりというイメージが浮かびます。しかし、この歌におけるヒーローは、ただ一人、“君”だけを守ることを使命としたヒーローです。
特に何者でもない僕たち一般人には、身近で大切な人を一人守るだけでも大仕事ですよね。逆に、それができれば自分の人生は大成功と言ってもいいくらいの価値があります。
なので、この歌詞の主人公に共感を覚える人はとても多いはず。もちろん、僕も完全にその一人です。
そんな僕たちの気持ちを代弁してくれるような「HERO」の歌詞。味わって行きたいとおもいます。
歌詞の深読み
ここからは歌詞を抜粋し、独自解釈の深読みをしていきます。
例えば誰か一人の命と 引き換えに世界を救えるとして
僕は誰かが名乗り出るのを待っているだけの男だ
<出典>HERO/Mr.Children 作詞:桜井和寿
世の男性の首をもげるほどうなずかせるフレーズから歌詞は始まります。最初聞いたとき「この男ってのは僕のことだ」と思ったのを覚えています。
そう、そんな場面で名乗り出ることなんてできない。それが普通の人の本音だと思います。つまり、この歌詞の主人公もまた、僕たちと同じく日々の生活を懸命に生きる、特別なところのないごく一般的な男ということです。
愛すべきたくさんの人たちが
僕を臆病者に変えてしまったんだ
<出典>HERO/Mr.Children 作詞:桜井和寿
名乗り出ることができない理由がここに書かれています。
愛すべき人がたくさんいて、それでこの命を簡単に提供することはできないという理由です。当然、死んでしまったらもうその人たちに会えませんからね。
そして死んでしまっては、「HERO」として愛する人を守ることも出来なくなってしまいます。
ヒーローになるために死を恐れる臆病者になっているという構図が深いです。
小さい頃に身振り手振りを 真似てみせた
憧れになろうだなんて 大それた気持ちはない
でもヒーローになりたい ただ一人 君にとっての
つまづいたり 転んだりするようなら
そっと手を差し伸べるよ
<出典>HERO/Mr.Children 作詞:桜井和寿
サビの歌詞であり、この曲の歌詞の根幹となる部分です。
小さい頃、テレビで見たヒーローの変身ポーズなんかを真似したことがあるのは僕だけではないはず。男に限らず、女性でもきっと一緒ですよね。セーラームーンとかカードキャプターさくらとか(古い?)。
そんな誰もが憧れるような存在になりたいとは思わないけど、ただ一人、“君”のことだけは守れるヒーローになりたい。これがこの曲の歌詞の核です。
でも、ヒーローだからと言って特別なことをしようと思っているわけではありません。つまずいたりするときには、すぐに手を差し伸べる。これだけができればいいという考え方です。でもこれ、シンプルなことではありますが、いざやろうとすると決して簡単ではありません。
駄目な映画を盛り上げるために 簡単に命が捨てられていく
違う 僕らが見ていたいのは 希望に満ちた光だ
<出典>HERO/Mr.Children 作詞:桜井和寿
微妙な映画をなんとか盛り上げようとするために、人が死ぬ場面を無駄に盛り込んでいることを揶揄しています。
そうではなくて、もっと希望を感じられる場面を見たいと思っているのですね。そして、例え映画のような作り物の物語でも、世の中には希望がたくさんあると信じたいと願っている主人公の心境が現れています。
人生をフルコースで深く味わうための
幾つものスパイスが誰もに用意されていて
時には苦かったり 渋く思うこともあるだろう
そして最後のデザートを笑って食べる
君の側に僕は居たい
<出典>HERO/Mr.Children 作詞:桜井和寿
このフレーズも本当に神がかっているほどの名言ですよね。例えがとてもとても上手で感激します。
そうですよね、一度きりの人生、フルコースで味わわないともったいないです。それには、王道でおいしいメインディッシュだけではダメなんです。
悲しいことやつらいことも人生では必要だし、必ず起こります。でも、それはフルコースのセットだから。そう考えれば前向きになれる気がします。
そして人生の終わり際に、笑顔で残りの時間を過ごす。そんな“君”の側にいたいという願いは、自分もその隣で同じく笑って過ごしているということを意味しています。
愛する人と2人で人生のフルコースを一緒に味わっていく。そんなふうに人生を送れたら最高ですよね。
残酷に過ぎる時間の中で きっと十分に僕も大人になったんだ
悲しくはない 切なさもない
ただこうして繰り返されてきたことが
そうこうして繰り返していくことが
嬉しい 愛しい
<出典>HERO/Mr.Children 作詞:桜井和寿
長い年月を過ごす中で、いろんな人生経験を積んで大人になっていく。ただし、その年月のなかでは、ネガティブな経験をし、暗い気持ちや考えを持った時期もあったことでしょう。
それは主人公だけでなく、“君”も同じです。しかし、そうして互いに大人になってしまったこと、そして時間が経過したことについては悲しさや切なさはないと言い切っています。
それよりも、その間の年月もずっと“君”を想い続けてこれたことが嬉しく、そしてこれからも繰り返されていくという確信が愛しい。そんな気持ちの方が強いのです。
おそらく、こんな気持ちも主人公からの一方通行ではなく、“君”の方も同じように主人公のことを想っているという関係性だと僕は解釈しています。
学びの一言
大事なのは、ずっと見守っていること。つまづいたときにすぐに気づき、手を差し伸べることができれば、それ以上のヒーローはいない。
1番のサビの深読みの部分と被っていますが、何をもって「君にとってのヒーロー」になり得るのかと考えると、やっぱりここだと思います。
つまづいたときに手を差し伸べるということは、ずっとそばにいて気にかけて見守っているということです。これは物理的なことだけを言うのではなく、心のことも含みます。いや、むしろ心の方が重要です。
シンプルであるだけに難しく、何かの片手間でできることではありません。その覚悟を持ったものこそが、ヒーローになれるのだろう。そんなことを考えさせられます。
僕も、妻や子どもにとってのヒーローと言える男でありたいと思います。
▼「重力と呼吸」までの“全曲”詩集。冒頭の桜井さんの作詞に対する熱い想いが超貴重です。
コメント
HEROはミスチルの歌(または桜井和寿)、君は聴衆1人1人と思って聴くと泣けてしまいます。
トマトさん、お返事遅くなりすみません!コメントありがとうございます。
なるほど、聴衆の1人と捉えてみるワケですね。
HEROも、じっくり聴くと目頭が熱くなる曲ですよね。
お返事ありがとうございます!
はじめはお子さんに向けて作った歌と思って聞いていましたが、
いつかのフェスの時にHEROで桜井さんが感極まって歌えないシーンがあり、上記の解釈に至りました。最新アルバムの「君と重ねたモノローグ」も聴衆1人1人に向けたものと思って聴くと、これまた泣けてしまいました。
桜井さんの歌詞は捉え方次第で味が違ってくるところが良いですね。
またブログ更新楽しみにしています☺︎
トマトさん
そうだったんですね、その話をは知らなかったです!
かなりレアな場面に参加されていたのですね。
まさにそのとおりで、捉え方次第でかなり意味が違ってきます!それが楽しいところだと思っています。
ありがとうございます。またどんどん遊びにきてください!