Mr.Children「手紙」の歌詞の意味と解釈を書いて行きます。
歌詞全体の解釈
まずはこの曲の歌詞全体の解釈から。
失恋の歌です。主人公は別れた相手のことを思い返していますが、ネガティブな後悔や絶望、未練タラタラという雰囲気とはちょっと違います。
彼女との想い出に浸り、寂しい思いを噛みしめているという心境の方が近い気がします。
ちなみに“彼女”と書きましたが、歌詞のなかでは「僕」や「彼女」という言葉はなく、そこから性別は判断できません。
しかし、最後のフレーズで、「誰かの胸に眠る」とあります。この表現からすると、やはり主人公の別れた相手は女性ではないかと推測できます。(※私個人のステレオタイプは多少あるかと思いますが、歌詞が書かれた時代も考慮したうえでの推測であり、私個人が性差別的な意味合いをもって推測しているわけではありません)
歌詞の深読み
ここからは歌詞を抜粋し、独自解釈の深読みをしていきます。
ささいな事に情熱をぶつけ傷つけ合って
それさえも微笑みに変わります 今ならば
<出典>手紙/Mr.Children 作詞:桜井和寿
大切な人であるからこそ、ちょっとしたことでも自分の気持ちや考え方をわかってほしくてぶつかり合ってしまうんですよね。
だけど、そんなことでさえも微笑ましい想い出だと主人公は捉えています。
それはおそらく、主人公も彼女の方も「お互いに大切な人だからこそぶつかり合うんだ」ということをわかり合っていたからではないでしょうか。
遠い夏を越えて 秋を過ぎて
あなたの事を想うよ
今でも会いたくて 寂しすぎて
愚かな自分を恨みもするけど
<出典>手紙/Mr.Children 作詞:桜井和寿
遠い夏と秋というのは、彼女と付き合っていていっしょに過ごしたころの夏と秋です。
夏と秋のころの季節に特に想い出が多いのでしょうか。出かけやすいし、イベントも多い季節ですからね。
「寂しすぎて」というのが現在の主人公の嘘も強がりもない本心です。そして彼女との関係を続けることができなかった自分を恨む気持ちもあるという心境にいます。
過ぎ去りしあなたへ 想い出のあなたへ
今じゃ別の誰かの胸に眠るはずだよね
花ゆれる春なのに
<出典>手紙/Mr.Children 作詞:桜井和寿
別れてからどのくらいの年月が経つのかはわかりませんが、新たな相手が見つかっていても全然おかしくない、むしろそうなんだろうなと考えるくらいの時間は経っているようです。
こういう想像をしてしまうのは、彼女をいい加減忘れたいと思う心からなのでしょうが、今でも忘れられない人が今ではすでに新しい相手と・・・と想像するのはやはりダメージを受けるものです。
と、そんなことを考えている現在はもう春。花も咲き出す美しい季節なのに、自分の心は晴れない。そんな対比がちょっと痛々しい。そんな情景が描かれたところで曲は終わります。
学びの一言
切ない想いは伴うものの、傷つけ合ったことさえ微笑ましい想い出と思えるならば、それはとても幸福な恋愛だったと言えると思う。
恋愛に別れは付きもの。もれなくセット販売なのです。
別れ方がその恋愛のすべてを決めるとは思いませんが、別れた後の想い出が微笑みになるものならば、それは幸福なことです。
歌詞から主人公の未練タラタラ感や絶望感がそこまで重く伝わってこないのは、幸福な恋愛だったのだと自分でもどこかで思っているからではないでしょうか。
切ない気持ちにはなりますが、相手も自分も先に進んで行けるだろうと予感できていることも歌詞からは伝わってくる気がします。
▼「重力と呼吸」までの“全曲”詩集。冒頭の桜井さんの作詞に対する熱い想いが超貴重です。
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