Mr.Children「GIFT」の歌詞の意味と解釈を書いて行きます。
歌詞全体の解釈
まずはこの曲の歌詞全体の解釈から。
主人公は“君”に贈りたいギフト。それが何なのか。これがこの歌詞を読み解くポイントになって来ます。
結論から、そして端的に言うと、主人公が一番渡したいのは“君”への気持ちです。
ただし、“君”が女性であるかどうかは歌詞の中だけでは断言できません。主人公は“僕”なので男ですよね。しかし、“君”はちょっとわかりません。男同士の熱い友情でもこの歌詞の各フレーズは成立します。
ですが、ここでは“君”は女性ということで、主人公の“僕”から“君”への愛と感謝の気持ちを歌ったラブソングという解釈で進めて行きたいと思います。
歌詞の深読み
ここからは歌詞を抜粋し、独自解釈の深読みをしていきます。
一番きれいな色ってなんだろう?
一番ひかってるものってなんだろう?
僕は探していた 最高のGIFTを
君が喜んだ姿をイメージしながら
<出典>GIFT/Mr.Children 作詞:桜井和寿
主人公が“君”に渡すGIFTを探しているという描写から歌詞は始まります。
ここで言うGIFTは、“君”が喜んでくれそうなものということで、何か具体的なプレゼントだと思います。“君”に一番似合うきれいな色は何かな?“君”に一番ひかって映るものは何かな?と主人公は吟味しています。
この、時間をかけて吟味していることと、“君”に喜んでほしいと心から思っていること。その気持ちがプレゼントのラッピングとなって、主人公から“君”に渡されることになるのです。
つまり、ここで言うGIFTとは何を指すか正確に言うと、もの的なプレゼントと、それを渡したいと考え抜いた主人公の気持ちのセットなのです。
『本当の自分』を見つけたいって言うけど
『生まれた意味』を知りたいって言うけど
僕の両手がそれを渡す時
ふと謎が解けるといいな 受け取ってくれるかな
<出典>GIFT/Mr.Children 作詞:桜井和寿
『本当の自分』『生まれた意味』を探しているのは主人公のことです。
主人公が“君”へのプレゼントを決めて、そこに自分の気持ちを乗せて渡すとき、「本当の自分」や「生まれた意味」を実感できることを主人公は期待しているのです。
僕は、この主人公の期待は叶うと思います。“君”を想ってGIFTを探し続けた時間や自分の行動に、今の自分の本当の姿(気持ち)や、生まれてきた意味を感じることができるはずだと思うからです。
そのGIFTを渡し、“君”が喜んで受け取ってくれたとき、主人公の気持ちは報われることになります。
長い間 君に渡したくて 強く握り締めていたから
もうグジャグジャになって 色は変わり果て
お世辞にもきれいとは言えないけど
<出典>GIFT/Mr.Children 作詞:桜井和寿
僕が最初に「この歌詞で主人公が渡したい一番のものは自分の気持ちなんだ」と解釈した根拠がこの歌詞です。
主人公は“君”に渡したいものを長い間持っていると言っています。しかも、強く握り締めていたとも。このことから、それは“気持ち”のこと、つまり“君”への愛の気持ちだと解釈しています。
「白か黒で答えろ」という 難題を突きつけられ
ぶち当たった壁の前で 僕らはまた迷っている 迷ってるけど
白と黒のその間に 無限の色が広がってる
君に似合う色探して やさしい名前をつけたなら
ほら 一番きれいな色 今 君に贈るよ
<出典>GIFT/Mr.Children 作詞:桜井和寿
白か黒、YesかNoで答えなくてはならないことって、とても多いですよね。仕事なんかしているとそんなことばかりです。
しかし、一人ひとりの人間の生き方や在り方というのは白か黒の2通りではありません。いろんな生き方があっていいし、いろんなスタンスや考え方があってもいいのです。そのことを「無限の色」があると表現しています。
“君”は自分の生き方に悩んでいるところがあるのでしょうか。そんな彼女に、主人公は似合う色を渡し、新しい名前をつけてあげようと考えているのですね。
言い換えると、「そのままの君でいいんだよ。そんな君が好きなんだ」と伝えるということですね。冒頭から書いているとおり、この気持ちこそが主人公からのGIFTなのです。
知らぬ間に増えていった荷物も まだなんとか背負っていけるから
君の分まで持つよ だからそばにいてよ それだけで心は軽くなる
<出典>GIFT/Mr.Children 作詞:桜井和寿
主人公にとって“君”という人がどんな存在なのかうかがえるフレーズ。
自分の荷物の他に、“君”の荷物も一緒に背負ってあげるというやさしさだけではありません。
“君”の荷物を持つということは、“君”と一緒に歩いて行く覚悟があるということです。「だからそばにいてよ」という願いの前に「だからそばにいるよ」という覚悟があるんですよね。
そして、主人公にとって“君”がそばにいてくれることは、たくさんの荷物を持っていても平気なくらい心が軽くなるのです。
一番きれいな色ってなんだろう?
一番ひかってるものってなんだろう?
僕は抱きしめる 君がくれたGIFTを
いつまでも胸の奥で ほらひかってるんだよ
ひかり続けんだよ
<出典>GIFT/Mr.Children 作詞:桜井和寿
最後のサビ歌詞です。
GIFTを渡した方の主人公が、“君”からのGIFTを受け取ったと言っています。
この“君”がくれたGIFTとは、“君”に対して想いを持てたこと、“君”を想って似合うGIFTを探すという経験、GIFTを渡すまで一緒に歩いてくれたことなど、たくさんのものが当てはまると思います。
相手に与えることは、同時に自分が相手から受け取ることでもあるんですよね。
主人公は、“君”への気持ちを渡す過程で、“君”を想って生きていくことこそが自分の生きる道であると気づいたのです。“君”がくれたGIFTのなかで、これが主人公にとって一番ひかるものとなったわけですね。
学びの一言
誰かにGIFTを渡したいと思ったとき、すでにその人からGIFTを受け取っている。
ものじゃなくても、手を貸してあげたいとか、自分の気持ちを伝えたいと思ったときには、すでにその人から“そういう気持ちにさせられた”という事実を受け取っています。
自分の気持ちが大きく動かされるという経験は、人生でもとても貴重なものだと思います。そんな貴重な体験をさせてもらえたという事実にちゃんと気づけるかどうかが大事なのです。
そのことに気づいて理解してGIFTを渡すのと、気付かずに自分の想いだけでGIFTを渡すのとでは起きな違いが生まれます。その違いは、受け取った相手のリアクションやその後の展開を左右するでしょう。
先に自分が受け取っている。このことを忘れず、自分よがりにならないこと。これを忘れてはいけないのですね。
▼「重力と呼吸」までの“全曲”詩集。冒頭の桜井さんの作詞に対する熱い想いが超貴重です。
コメント
誰かにGIFTを渡したいと思ったとき、すでにその人からGIFTを受け取っている。
ここの解釈、大好きです。
デルモさん
コメントありがとうございます!ミスチルの歌詞には本当に気づかされることがたくさんありますよね。
デルモさんからの嬉しいコメント、とっておきのGIFTになりました!
初めて聴いた時からずっと私もずっと歌詞の意味を考えていました。60歳になり、一応定年を迎えた時ふと気づいたように思います。『君』は自分の中で色々と悩み探し続けている自分の姿なんじゃないかって。自分の中で葛藤を繰り返して地平線の彼方まで走り続ける勢いで何かをやり続けてきたけど、『もういいかな?』『まだ行きたい。もう少し行きたい。』自分の定年と共にずっと今まで追い続けたものを『もういいかな?』と考えてみた時に、『まだ燻っている』そう感じて、もう少しやろうと決めたことがあり、『GIFT』の歌詞と重なりました。
ただ、自分の解釈なのでそれぞれの解釈でいいのではと思います。
60歳のchildrenさん、コメントありがとうございます。
投稿のお名前がとてもステキですね!
人生の先輩からの解釈とても心に染みました。
もう少し、突き詰めたいことがおありなのですね。
>自分の解釈なのでそれぞれの解釈でいいのではと思います。
こちら、僕も本当に同じように考えています。
自分なりの解釈で人生が楽しく送れるならそれが最高なのかなと…!
僕も現在、子どもが産まれたりというタイミングです。
やるべきこと、やりたいことたくさんあります!
お互いにまだまだ歩き続けましょう!!
またぜひ遊びにいらしてください。